私的血統論

馬産地・日高地方から競走馬の血統を考察するブログ
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カジノドライヴを考える

カジノドライヴ

今年、2歳初年度産駒をデビューさせたカジノドライヴ。

供用初年度から200頭もの繁殖牝馬と種付して、その翌年に生まれた産駒たち(生産頭数は131頭)が続々と出走するなかで、中央で8頭、地方で15頭の計23頭(11月17日現在)が勝ち上がっている。

種牡馬展示会で初めてカジノドライヴを見たときは、正直なところ脚元が難しそうな印象を受けた。

膝は以前ケガをしたようで、その痕のようだったが、立ち気味の繋はいかにもMineshaft産駒らしい。

そのため、第一印象は「産駒が活躍するにしても主戦場はダートかな」程度にしか見ていなかった。

ただ、キ甲から腰にかけてのトップラインがきれいな馬で、GⅠ勝ちが無いとはいえ、重賞勝ち馬だけのことはあると感じたことは覚えている。

これまでの種牡馬成績を見ると、そういう予想は良い意味で裏切られた印象だ。

確かに産駒のほとんどはダートでの勝ち上がりなのだが、稼ぎ頭のコウエイテンマに至ってはOPのフェニックス賞を勝つなど芝を主戦場としている。

しかも、新種牡馬ランキングでは、競走成績ではカジノドライヴより優れているヴィクトワールピサやワークフォースなどとトップ争いをしているという状況なのだ。

この好調さを受けてか、これまでずっと50万円だった種付料は、来年度には値上がりするとの噂も聞こえている。

非サンデー系種牡馬なので、今後ますます需要が増えそうな勢いだ。

さて、今日はそのカジノドライヴについて、これまで勝ち上がってきた計23頭の産駒たちの血統パターンをもとに、その傾向についてまとめてみたい。

現時点ではあまりサンプル数も多くなく、中央・地方合わせての評価なので、年数を重ねる毎にその傾向も大きく変わる可能性はある。

それでも現在ホットな種牡馬なので、現時点でその産駒たちの血統を調べることは無駄ではないはずだ。

血統的な特徴として、23頭の勝ち馬のなかから、以下のクロスを持っている産駒たちを仕分けしてみた。



①Best in Showのクロスを持つカジノドライヴ産駒

ダークディフェンダ、ドライバーズハイ、ビッグジャイアント、プレスティージオ、ラスベガスシチー (計5頭)

Best in Showという世界的にも有名な牝系に属しているカジノドライヴにとって、この牝馬の血脈を強化する配合パターンは奏功したようだ。

カジノドライヴの母であり、Best in Showの孫にあたるBetter than Honour(米GⅡ勝ち馬)は、Northern Dancer系種牡馬のDeputy Ministerの娘である。

そのためか、上記のBest in Shnowクロスを持つカジノドライヴ産駒の勝ち馬5頭は、すべてNorthern DancerとBest in Showを組み合わせるようなクロスを持つ血統パターンを有する。

特に、母方にラストタイクーンを持つ繁殖牝馬とカジノドライヴは相性が良いようだ。

この配合では、Better than Honour≒トライマイベストができるほか、ラストタイクーンの母父Mill Reefの血脈がカジノドライヴの2代父A.P.Indyが持つNearco/Prince Roseの血脈3本(Seattle Slew、Secretariat、Sir Gaylord)を活かせる。

ダートで2戦2勝のプレスティージオは、まさにこの血統パターンである。

プレスティージオ

ただ、現在の日本における血統のトレンドからすると、母父キングカメハメハとの配合のほうが多く見かけることになるだろう。

ラスベガスシチー

今月勝ち上がったラスベガスシチーがこの血統パターンを持つが、母系にCaerleonも保有することで、その母Foreseerを通じてNearco/Prince Roseの血脈を強化している。



②Nearco/Prince Roseの血脈を活かしたカジノドライヴ産駒

ヴェンジェンス、カジノスマイル、ガラムマサラ、カリビアンスタッド、クリルカレント、コウエイテンマ、サーラジャー、サンドプラチナ、シーブリーズラブ、シグラップジュリア、ストレートアップ、ダークディフェンダ、ビッグジャイアント、プレスティージオ、ミラチャン、ライムリーフ、ラスベガスシチー、リオヴァンクール (計18頭)

カジノドライヴの血統内で、Nearco/Prince Roseから構成される血脈はSeattle Slew、SecretariatそしてSir Gaylordである。

すなわち、彼の2代父A.P.Indyの血脈がポイントになっている。

基本的にNearco/Prince Roseのニックスから成る血脈は多く、この特徴を持つ血脈を保有する馬もまた多数存在する。

そのため、この血を活かすことがカジノドライヴ産駒成功の鍵と考えるのはやや無理のある話しだが、それでも日本のスピード競馬に対応するために有効な血統パターンであるとは思う。

実際、カジノドライヴ産駒のなかでも芝馬として異色の存在と言えるコウエイテンマは、このニックスを活かした血統パターンを有する。

コウエイテンマ

すなわち、カジノドライヴの持つSeattle Slew、Secretariat、Sir Gaylordを活かすべく、母方のMill Reefの血脈がポイントになっている。



③Mr.Prospectorクロスを持つカジノドライヴ産駒

カジノスマイル、ガラムサハラ、カリビアンスタッド、ダークディフェンダ、デラニュースター、ラスベガスシチー (計6頭)

Mr.Prospectorクロスを持つ馬は、現代においては特別珍しいものではないが、一般的にはカジノドライヴの属するSeattle Slew系と相性の良い血脈とされている。

実際、カジノドライヴの父Mineshaftはその組み合わせを持ち、自身は米GⅠを4勝して米年度代表馬にも選出されている。

カジノドライヴ産駒の勝ち馬のなかでも、カリビアンスタッドとデラニュースターはMr.Prospectorと相性の良いDeputy Ministerクロスも持つ。

カリビアンスタッド

ただ、この2頭は地方馬であり、この配合が中央でも通用するか現時点では不透明だ。



④Blushing GroomとNorthern Dancerクロスを持つカジノドライヴ産駒

サーラジャー、ドライヴナイト、トリノゴウショウ (計3頭)

Northern Dancerのクロスは別として、Blushing Groomのクロスを持つ馬はそれほど多くない。

カジノドライヴ産駒の勝ち馬のなかに、この血統パターンを持つ馬が複数含まれていることを考慮すると、自分が感じている以上にカジノドライヴにとってBlushing Groomという血は重要なのだろうか。

ちなみに、3頭の勝ち馬のなかで唯一の中央勝ち馬であるドライヴナイトは、母馬の血統が他馬と異なりグルームダンサー、サンセットバレーとBlushing Groom系×Northern Dancer系の配合を継続している。

ドライヴナイト

何かしらのヒントになるかもしれない。

Blushing Groomと関連してもう一つ気になるのが、カジノドライヴの勝ち馬23頭のうち、母方にWild Riskを保有する馬が9頭もいるという事実だ。

Wild RiskはBlushing Groomの母父であるが、Blushing Groomと同様にこの血のクロスを持つ馬も、それほど多くはない。

そう考えると、カジノドライヴの血統におけるWild Riskを内包したBlushing Groomという存在は、やはり気になる。



とりあえず、カジノドライヴ産駒の勝ち上がり馬23頭の血統的特徴を、クロスという観点からまとめてみた。

前述したように、まだサンプル数が多いわけではなく、今後の勝ち上がり産駒の血統パターン次第で、今回扱った内容がまったく役に立たない可能性もある。

それでも、自家牧場でもし来年カジノドライヴを配合しようとするなら、現時点での勝ち馬たちの血統パターンを大いに参考にしたいと思っている。


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[ 2015年11月18日 18:17 ] カテゴリ:種牡馬 | TB(-) | CM(0)

新馬戦から勝ち馬を送る新種牡馬たち(JRA編)

前回は、ホッカイドウ競馬のフレッシュチャレンジから勝ち馬を送る新種牡馬を取り上げたが、今回は中央の新馬戦勝ち馬を送る新種牡馬たちを3頭ほど取り上げようと思う。

まずは、新種牡馬のなかでも特に注目度の高いエンパイアメーカー産駒であるドルメロが、7月5日中京の新馬戦(芝1400)で見事勝ち上がった。

ドルメロ

新馬にしてはしっかりとした走り方で、直線の長い中京を確実に伸びてきた感がある。

つづく中京2歳Sでも2着に敗れはしたが、見どころのあるレース振りだった。

2戦とも稍重だったことを考えると、将来的にパンパンの馬場でスピード決着になるときにどこまで通用するか、今後のレース振りに注目していきたい。

そのドルメロの血統は、サラBLOOD!創刊号のなかで取り上げたエンパイアメーカー×フジキセキ牝馬という配合から生まれている。

この配合では、Gana Facil≒ミルレーサーおよびImage of Reality≒Marston's Millという2つの3/4同血クロスができるのが特長で、誌上では勝ち上がり率の高いスピード配合と評した。

Image=Marston's

サラBLOOD!に興味のある方は、是非ご購読頂きたい。

さて、同じく新種牡馬として新馬戦勝ち馬を送り出したのが、エンパイアメーカーの息子バトルプランである。

バトルプラン産駒のマイネルシュバリエは、7月27日福島の新馬戦(芝1800)でやや押し出されるような感じで先頭に立ち、道中うまく折り合いをつけて、最後の直線では余力を活かしてしっかりと伸びて快勝した。

マイネルシュバリエ

バトルプランは、馬体的に父似のところがあるが、あえて違いを指摘するならば、父よりも背中の線が短い長躯短背の馬体をしている。

そのため、父に比べるとよりスピード体型に見えて、福島のようなコースでもうまく立ち回れるような器用さを持つ産駒が生まれやすいと考える。

マイネルシュバリエの血統で目に付くのは、El Gran Senor≒マルゼンスキーによる相似クロスだ。

El Gran Senor=マルゼンスキー

いずれもNorthern Dancer系×Buckpasser牝馬との組み合わせであり、血統的親和性が高い関係にある。

ただ、マイネルシュバリエの場合、その血統で褒められるべきは母マイネポリーヌの血統パターンだろう。

彼女の競走成績は2戦のみで終わっているものの、Xライン上でマルゼンスキー3×2を持つという大胆な血統パターンは繁殖牝馬としての成功をもたらした。

彼女の血統では、ヒンドスタン5×4についてもXライン上でクロスしていて、さらにはこれら2つの血脈を含めたキャンペンガール≒マイネミレーという相似クロスまで形成しているのだ。

キャンペンガール=マイネミレー

上記血統表の比較ではわからないが、マイネミレーの3代母の父トサミドリはプリメロの息子であるため、キャンペンガール≒マイネミレーの血統的親和性はかなり高いと言える。

マイネポリーヌはその血統背景を活かして、すでにGⅢ2着2回のマイネグレヴィルという活躍馬を出しているが、いずれ重賞勝ち馬を輩出しても不思議ない母馬だと考えるし、もしかするとそれはマイネルシュバリエなのかもしれない。

最後に、ハービンジャー産駒の新馬戦勝ち馬2頭を取り上げよう。

7月20日には函館の芝1800でスワーヴジョージが、また7月27日には札幌の芝1800でジャズファンクが新馬戦勝ちを収めた。

スワーヴジョージ

ジャズファンク

スワーヴジョージは名牝フェアリードールの牝系出身で、ジャズファンクも2代母に名牝シンコウラブリイを持つなど、両馬とも牝系が優れた良血馬だ。

また、どちらも母父がサンデーサイレンスである点も共通しているが、これは偶然ではないだろう。

父ハービンジャーがAlmahmoudを6本持つ血統であり、日本適性のある産駒を出そうとするなら、やはりAlmahmoudのラインを強化すべきだし、その配合に最も適しているのがサンデーの血脈である。

2頭とも勝ち上がりが芝の中距離であり、また洋芝であった点を考慮すると、これからのハービンジャー産駒に注目すべき点はスピード決着でのレースでどれほど適応できるかということだろう。

ただ、この種牡馬の場合、上記2頭に限らず良血の繁殖牝馬に配合されているので、その血統的な質の高さである程度能力の高い勝ち馬を量産してくるはず。

距離適性を考えると、来年のクラシック戦線に数頭の有力馬を送り込んでくる可能性もある。
[ 2014年07月31日 18:38 ] カテゴリ:種牡馬 | TB(-) | CM(0)

フレッシュから勝ち馬を送る新種牡馬たち

ダービーも終わって、中央競馬も2歳戦に注目が集まってくるこの時期。

今回は、一足先に2歳戦が始まっているホッカイドウ競馬から、JRA認定フレッシュチャレンジ競走に優勝した新種牡馬の産駒たちにスポットを当てようと思う。

5月15日、門別競馬場にて新種牡馬の勝ち馬第1号になったのは、ヴァーミリアン産駒のエンターザスフィアだった。

エンターザスフィア

http://www.hokkaidokeiba.net/raceinfo/seiseki.php?p_day=20140515&p_rno=007&bid=digest_bk

父似の500kgを超す恵まれた馬体を活かし、好位追走から直線では力強く抜け出して、最後は2着に1.1/2馬身差をつけて快勝した。

父のヴァーミリアンは毎年のように満口になる人気種牡馬で、今年から新天地のブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬生活を送っている。

力強い首差しと四肢から高いダート適性を感じさせる馬体だが、脚元が柔らかく、2歳時に芝のGⅢラジオらんぱ杯2歳Sを勝っているのも頷ける。

セリなどで産駒を見ると父似の産駒が多い印象で、遺伝力の強さを感じさせる種牡馬だ。

エンターザスフィアの血統を見ると、2代母トーワルビーが持つネヴァービートによるXライン上のクロスが特長的である。

トーワルビーが重賞路線でも活躍できたことを考慮すると、このXライン上のクロスは少なからず好影響を与えたと考えられる。

また、トーワルビーが持つNasrullah4・5×5のクロスについても注目すべきだろう。

ヴァーミリアンの父エルコンドルパサーもまた、Nasurllahの血脈を豊富に持っているからである。

ラムタラの肌馬に、サンデーの血を持つヴァーミリアンを配合したのも好ましい。

Northern Dancerを2本持つラムタラは、Halo系と相性の良いNijinskyやRed Godを持っている。

また、サンデー系はHaloを持ち、Northern Dancer系と相性も良いことから、ラムタラとの血統的な相性も良い。

最たる成功例は、天皇賞(春)の勝ち馬ヒルノダムール(マンハッタンカフェ×ラムタラ牝馬)である。

これらのことから、ラムタラやトーワルビーの血を引くトーワマドンナは、ヴァーミリアンとの血統的相性が良い繁殖牝馬だと考えられる。

さて、5月21日には、新種牡馬カネヒキリ産駒のコールサインゼロがフレッシュチャレンジで勝ち上がった。

コールサインゼロ

http://www.hokkaidokeiba.net/raceinfo/seiseki.php?p_day=20140521&p_rno=005&bid=digest_bk

この馬も、エンターザスフィア同様に外目の好位追走から直線抜け出して、ゴール前では流し気味も3馬身差をつけて圧勝した。

カネヒキリについては、父に似てやや硬めの馬体に出ることがあるからダート向きだとか、父とは違って素軽い馬体に出ている産駒もいて意外と芝向きだとか、いろいろな評価を聞き及んでいる。

ただ、全般的な評価は上々のようで、育成場での評価も良いと聞いているし、それを受けてか今年の種付権利も満口の状況だ。

カネヒキリの血統は、一見するとサンデー系×Northern Dancer系という配合で、Almahmoudクロスがあるくらいのありふれた血統のように思える。

ただ、世代を遡って詳しく調べてみると、Nothirdchance≒Miss DogwoodやWar Relic≒Ladder≒Parade Girlなど、きめ細かい血統パターンになっている。

このような相似クロスからは、強い米血脈の影響が見られるので、やはりダート血統だと言えるだろう。

また、Deputy MinisterおよびMr.Prospectorという2代続けて大きな心臓を伝える可能性が高い血脈をXライン上に配している点も評価できる。

カネヒキリの血統パターンに関しては、かなり世代を遡らないとその良さをうまく説明できないところもあるので、また別の機会があればそこで触れたい。

今回勝ち上がったコールサインゼロは、Millicent≒キタサンコールによるNearco/Prince Roseのニックを活かした組み合わせを持つほか、Silver Valley≒カコイーシーズもある。

特にSilver Valley≒カコイーシーズに関しては、まずMr.Prospector≒Alydarで相似な関係にあり、さらにSilver ValleyがNasrullahを4×4で持つ一方、カコイーシーズもNasrullahを4×3を持っていて、両者の血統的親和性は高い。

全体の血統パターンを考慮すると、コールサインゼロはカネヒキリ産駒のなかでもスピードに秀でているタイプで、もしかすると芝もこなす可能性のある血統の持ち主だ。

最後に、5月22日に勝ち上がったのが、新種牡馬ローレルゲレイロ産駒のウールーズである。

ウールーズ

http://www.hokkaidokeiba.net/raceinfo/seiseki.php?p_day=20140522&p_rno=006&bid=digest_bk


レースではそれほどスタートが決まらなかったが、道中は好位まで追い上げて、最後の直線ではクビ差差し切って優勝。

カネヒキリにとってのコールサインゼロもそうだったが、父のローレルゲレイロにとってウールーズは産駒の初出走初勝利となった。

ローレルゲレイロはそれほど馬格はないが、立派なトモと並ぶと抜かせない勝負根性が持ち味で、ウールーズもレース展開を見る限り、そういう長所をしっかり受け継いでいるようだ。

ヴァーミリアンやカネヒキリほどの人気はないが、それでも今年はウールーズの優勝で種付頭数も増えてきているという。

ローレルゲレイロの血統的長所は、Squander≒シルもあるが、最大のポイントはNearco/Prince Roseのニックを持つ血脈を6本(マルゼンスキーを含めるなら7本)持っている点である。

私の感覚ではBuckpasserクロスを持っている芝馬、特にGI馬ともなればかなり珍しいと思う。

そう考えると、Nearco/Prince Roseのラインを強化した血統パターンにより、芝をこなせる柔軟性を得ているのだろう。

産駒ウールーズの血統パターンは5代表を見てわかるように、キングヘイロー≒リキサンキャロルによるHalo系×ダンシングブレーヴ系の組み合わせを活かした配合だ。

さらにはキングヘイロー≒コマンダーインチーフ、マルゼンスキー≒クラウンフォレスト、モガミヒメ≒カスパースカイゴールドなど、これでもかというくらい相似クロスを用いている。

430台ということで、父の産駒らしくそれほど大きくはない馬格だが、これから成長次第では上のクラスでも面白そうな血統をしている。

今回は、3頭の新種牡馬とその産駒たちを紹介したが、これからの勝ち上がり次第で、ほかの新種牡馬とその産駒たちもこのブログを通じて紹介、応援できればと思っている。

[ 2014年06月03日 19:17 ] カテゴリ:種牡馬 | TB(-) | CM(0)

Kingmanの父Invincible Spiritとベーカバド

先日開催されたGI愛2000ギニーは、前走のGI英2000ギニーで2着に敗れたKingmanが、ここは1番人気に応えて2着に5馬身差をつけての快勝。

https://www.youtube.com/watch?v=xeVcYvHvvTk

この勝利を見る限り、3歳マイル戦線ではトップレベルの実力を持っていると見なせる。

父のInvincible Spiritは、日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、欧州では短距離系種牡馬として人気の高い種牡馬である。

Invincible SpiritにとってKingmanは8世代目の産駒となるが、この種牡馬はKingmanや仏GIモーリス・ド・ゲスト賞3連覇のMoonlight Cloudなど計9頭のGI勝ち馬を輩出しているほか、2歳馬の勝ち上がり頭数の最多記録も持つなど、その種牡馬成績は高いレベルで安定している。

2014年度の種付料が70,000ユーロに設定されているように、欧州短距離界において高い評価を得ているInvincible Spiritであるが、彼の血統を見たとき、2012年より日本で種牡馬入りしているベーカバドと血統的に相似な関係にあると思った。

Invincible=ベーカバド

いずれもGreen Desert系種牡馬×Kris牝馬という組み合わせを持っているのだ。

ただ、その競走成績には違いがあり、Invincible Spiritが6Fを主戦場にしたスプリンターであったのに対し、ベーカバドは仏GIパリ大賞典(12F)を勝っているほか、BCターフ3着や凱旋門賞4着など距離に融通性があった。

だからと言って、ベーカバドに関してはただの中距離馬と見なすのは早計で、2歳7月にデビューして以降、3戦3勝で重賞を制して2歳シーズンを終えているように、ある程度の早熟性も備えている。

また、その3戦とも距離がマイル以下だったこともあり、Invincible Spiritと血統構成が似通っている点も加味すると、この種牡馬は2歳戦から勝ち馬を量産してくることもあり得る。

ベーカバドの血統は、もう一頭のGreen Desert系種牡馬Oasis Dreamとも相似な血の関係にある。

Oasis Dream=ベーカバド

いずれも父系がGreen Desert系であるのはそれほど珍しくもないが、興味深いのは2頭ともその母系にMill ReefとBustedを持っている点である。

また、その位置もOasis Dreamの2代母BahamianがMill Reef×Busted牝馬の組み合わせであるのに対して、ベーカバドの2代母BeheraもMill Reef×Bustino(その父がBusted)牝馬という関係にあり、Bahamian≓Beheraという見方もできる。

実は、GI愛2000ギニーを勝ったKingmanはそのOasis Dreamと近親関係にある。

Kingman=Oasis Dream

上記4頭が織りなす関係はなかなかに興味深い。

全欧2歳チャンピオンのOasis Dreamも種牡馬として成功していて、10頭のGI勝ち馬を輩出しているほか、産駒の勝ち上がり率も非常に高い。

Invincible SpiritやOasis Dreamの成功を見ると、すでに種牡馬入りしているベーカバドやこれから種牡馬入りするであろうKingmanについても、種牡馬としての可能性を感じる。

私の立場から現実的に考えると、日本で種牡馬になっているベーカバドにどのような繁殖牝馬が合うか、ということになる。

Invincible Spiritの産駒を例にとれば、それこそ上記のKingmanなどはベーカバドの配合を考える際に参考になるだろう。

Kingmanの血統を見たとき、まず最初に目につくのがGreen Desert≓ダンシングブレーヴによる相似クロスである。

Green Desert=ダンシングブレーヴ

この2頭はNorthern Dancer系×Sir Gaylord系の組み合わせを持つ点で共通している。

ダンシングブレーヴは日本でも供用されていた種牡馬なので、この血を持つ繁殖牝馬にベーカバドを配合するのは面白いかもしれない。

日本では、例えばエルフィンの2013(牡)がこの相似クロスを持つ。

エルフィンの2013

彼の場合、Mill Reef4×4も良いアクセントになっている。

というのも、Mill Reefが持つNearco/Prince Roseのニックを、Green Desertやダンシングブレーヴ内のSir Gaylordも同様に持っていて、これらの相似クロスも彼の競走能力に好影響を与えてくれるかもしれないからだ。

もう一頭Invincible Spiritの産駒を参考にするなら、豪GIを3勝したYoseiが挙げられる。

Yosei

Invincible Spirit×フジキセキ牝馬という組み合わせからは、ベーカバドがサンデー系牝馬に合う可能性を感じさせる。

この組み合わせからはSir Ivor≓Haloの相似クロスができるほか、Northern Dancer系×サンデー系というニックも派生するからだ。

ベーカバド産駒のなかには、母系にサンデーサイレンスとダンシングブレーヴを持つ血統パターンの馬もいる。

アラマササンデーの2013

アラマササンデーの2013(牝)は、ベーカバドの血統的長所をしっかりと押えている感がある。

私もベーカバドがサンデー系牝馬に合うのではないかと考えていて、自家牧場にもその血統パターンを持つ馬がいる。

可動域の大きい歩様が特長的で、なかなかに気も強くスピード感ある走りを放牧地で見せていて、芝のマイル前後で期待したい馬だ。

最近は、日本で生まれたサンデー系種牡馬に人気が集まる傾向にあるが、ベーカバドのみならず、このブログで扱ったアイルハヴアナザーや以前サラBLOOD!に寄稿したエンパイアメーカー、あるいはヨハネスブルグやヘニーヒューズなど、日高にも期待の大きい非サンデー系種牡馬も輸入されてきている。

また時間があれば、日高の種牡馬を取り上げてみたい。
[ 2014年05月29日 18:30 ] カテゴリ:種牡馬 | TB(-) | CM(0)

アイルハヴアナザー(米3歳牡馬チャンピオン)

アイルハヴアナザー


今月は種牡馬展示会があったので、種牡馬をどれか一頭取り上げようと思っていた。

ルーラーシップはいかにも人気が出そうだったし、ディープブリランテは父ディープよりも立派な馬体だったり、ダーレーで見たストリートセンスとキングズベストの2頭の実績馬も気になったりしたのだが…。

最終的に、自分は日高地方に住んでいるので日高のほうでスタッドインした新種牡馬アイルハヴアナザーを取り上げることにした。

2月19日にビッグレッドFの種牡馬展示会に顔を出して馬体を見学。

牧場としてはシンジケートに加入していないし、今年の配合予定にも入っていないのだが、何といっても米2冠馬である。

サンタアニタダービーとケンタッキーダービー、さらにプリークネスSと米3歳G1を3勝しているが、そのいずれも最終コーナーから加速して残り1ハロンでグンと切れる脚を使っての優勝。

種牡馬展示会では、ビッグレッドF社長が『フォーティナイナー系らしい瞬発力がある』と言っていたように憶えているが、このあたりのことを言及していたのだろうか。

クラシック路線でライバル馬だったBodemeisterは父にエンパイアメーカーを持ち、母系も米国血統の良血を凝縮したようなエリート血統の持ち主だ。

この2頭のレース結果や血統背景の構図は、昔のサンデーサイレンスとEasy Goerの比較を見ているようでもある。

アイルハヴアナザーの馬体に対する個人的な意見としては、柔らかさというよりは力強さを感じさせる馬体の持ち主だ。

また、長躯短背のタイプで仙椎あたりの角度に切れがあり、レース内容に見られるように末脚が切れそうな馬体だと感じた。

ただ、あとからスタリオンブックの写真を見た限りは、腰の切れは普通かなとも思う。



さて、本題のアイルハヴアナザーの血統のほうはどうなのか。

父Flower Alleyは、その父で人気種牡馬のDistorted Humorの後継種牡馬と目される一頭。

初年度からG1アッシュランドSを勝ったライラックスアンドレース、そして2年目にアイルハヴアナザーと2世代連続してG1馬を輩出している。

両馬とも日本に来てしまったので、米国におけるFlower Alleyの血脈としての繁栄という点では不安が残るが、現11歳でまだまだ現役を続けられる年齢なので、さらなる産駒の活躍が期待される。

Flower Alleyの血統表を見ると、まずMr.Prospector3×3が目につくと思うが、その血統パターンはこれでもかというくらいに相似による組み合わせのクロスに彩られている。

まずは、Flower Alleyの父Distorted Humorが持つMr.Prospector系×Northern Dancer系という成功パターンのニックを、母Princess Oliviaも持つと同時に母の父Lyciusもこのニックを持つという配合である。

個人的には母Princess Oliviaの血はMr.Prospector系種牡馬×Northern Dancer系牝馬という組み合わせよりも、Northern Dancer系種牡馬×Mr.Prospector系牝馬という血統パターンのほうが、Flower Alleyの血統バランスが良くなるとは思うのだが、それは言っても詮なきことか。

面白いのはPrincess Oliviaの持つLyphard≒Diamond Springの組み合わせだ。

Lyphard=Diamond Spring

Lyphardの母であるGoofedは、Diamond Springの2代母でもある。

この息子と娘を経たクロスというのは自分が好きな配合手法であるが、さらにこの2本のGoofedはいずれもPrincess Oliviaの、さらにはFlower Alleyのハートライン上に存在する。

原著『X FACTOR』のなかでGoofedがダブルコピー牝馬として紹介されていたとは記憶していないが、それでも良いクロスの配列だという気がする。

また、Lyphard≒Diamond Springについては、Lyphardの2代父Nearcticが持つNearco/Hyperionのニックを、Diamond Springの父Vaguely Nobleも持つという関係にある。

さらには、このLyphard≒Diamond Springの関係にDistorted Humorの母の父Danzigを加えることができるかもしれない。

DanzigもまたNearcticを持ちつつ、その母系にはLyphardとDiamond Spring同様にFiar Trialの血脈を有しているからだ。

もう一つFlower Alleyの血統で注目したいのが、Mr.Leader≒Bold Reasonの関係である。

MrLeader=Bold Reason

いわゆる4分の3同血という関係である。

Distorted Humor産駒で母系にBold Reasonがあれば成り立つこの相似クロスに興味が湧いて、その他にこのクロスを持つ活躍馬がいないか少し調べてみたが、Flower Alley以外ではG1ヒュマナディスタフHを含む重賞7勝のHystricaladyを見つけた程度である。

Mr.Leader≒Bold Reasonを持つ馬に限って言えば、米G1を2勝して種牡馬となったLion Heartの母系にこの両者の血脈が流れていて、その位置はLion Heartの母Satin Sunriseから見て1×3でクロスされている。



今度はアイルハヴアナザーの母Arch's Gal Edithに目を向ける。

この馬の父Archには、個人的に母の父としての可能性を感じている。

Archの母系であるAurora~Althea~Courtly Dee~Tulleと遡る血脈は、世界的にも有名な牝系であり、特にAltheaとCourtly Deeに関しては『X FACTOR』のなかでダブルコピー牝馬の可能性が指摘されている。

ちなみに、ジェンティルドンナの母の父BertoliniはArchの母Auroraと同血と見なされる血統の持ち主で、X FACTORの考え方からすると、ジェンティルドンナのハートライン上のいくつかにはダブルコピー牝馬が登場することになる。

ジェンティルドンナについては、今後取り上げる機会があるかもしれない。

Arch's Gal Edithの血統は、父Archだけが目立っているわけではない。

彼女の血統には、3本のNearco/Prinse Roseのニックが存在する。

kris=never=caucasus

3頭の血統を1つの血統表に押し込めているが、いずれもNearco/Prinse Roseのニックを有していて、Arch's Gal Edithの血統では2×3*3の位置で配されている。

このニックは日本の多くの繁殖牝馬に見られる傾向の一つでもあり、アイルハヴアナザーの配合を考える際には一つのポイントになりそうだ。

このほかに注目できるのが、Archの2代母AlthaとNever Knockの母Never Hulaによる組み合わせである。

Althea=Never Hula

いずれの血もNever BendとPolinesian系との組み合わせを持っている。

また、Narullah系×Polynesian系という見方まで視野を広げれば、Altheaの父Alydarがそのニックを持っているほか、Arch's Gal Edithの3代母Last Birdもこの組み合わせを有する。

Arch's Gal Edithの血統では、父Archを通じてハートライン上にダブルコピー牝馬が存在するという指摘はしたが、彼女の場合ダブルコピー牝馬はその他のハートライン上にも存在する。

すなわち、Pleasant Tapの母としてのNever Knock、そしてCaucasusの母としてのQuillの存在である。

いずれも原著『X FACTOR』のなかではダブルコピー牝馬として紹介されていたはずだ。

自分の見解では、Arch's Gal Edith自身がダブルコピーなのではないかとさえ感じている。

そういう意味では非常に魅力的な血統パターンを持つArch's Gal Edithであるが、彼女が昨年のファシグティプトン・11月セールに上場されたのには驚いた。

その年のケンタッキーダービー勝ち馬の母馬なのだから、日本なら到底考えられないことだ。

このあたりが、日米の繁殖牝馬の流通マーケットの懐の深さの違いといったところか。

ただ、セール結果としては95万ドルで主取りとなっているが、それで正解だと自分は思っている。

ブラックタイプという観点からすると、確かに他の優秀な繁殖牝馬との比較では劣るだろうが、この馬の持つ血統パターンと若さなら最低でも150~200万ドルの価値はあるように思える。



さて、最後にアイルハヴアナザー自身の血統である。

母Arch's Gal Eidthが持っていたAlthea≒Never Hula≒Last Birdによる組み合わせは、Nasrullah/Polynesianの組み合わせからなるものだったが、このNasrullah/Polynesianを持つ代表的な血脈はMr.Prospectorである。

その点、Mr.Prospector3×3を持つFlower Alleyは好ましい配合相手だったかもしれない。

Mr=Althea=Never=Last

それぞれNasrullah/Polynesianの組み合わせを持つ血脈であるが、これにNearco/Polynesianを持つNorthern Dancerとも血統的親和性があると見なせば、アイルハヴアナザーの血統には全部で10本のNearco/Polynesianの組み合わせによるクロスが存在する。

素軽いスピードを伝えるNasrullahと、パワフルな中距離スピードを伝えるNative Dancerの血脈を豊富に持つあたりは、いかにも米血脈という印象を受ける。

またアイルハヴアナザーはDanzig4×4を持つのも特徴的で、母系に1本あるDanzigはハートライン上に存在するのだが、『X FACTOR』ではDanzigもまた大きな心臓を伝える遺伝子を持つ種牡馬として紹介されていたと記憶する。

そして、アイルハヴアナザーの血統でもう一つだけ指摘しておくと、父Flower Alleyの持っていたMr.Leader≒Bold Reasonが、母Arch's Gal Edithの持つ2本のNever Bendと良い組み合わせになる。

Never=Mr=Bold

Bold ReasonとNever Bendの相性が良いのは、Sadler's WellsがMill ReefやRivermanと相性が良いことで実証済みだが、こうして血統を並べてみると3者ともNearco系種牡馬×Djeddah牝馬であり、牝馬のLalunクロスができるのも面白い。



改めてスタリオンブックで紹介されているアイルハヴアナザーの母系を参照する限りは、ライバル馬だったBodemeisterとはかなりの差を感じざるを得ない。

ただ、実際に持っている血脈や血統パターンは米2冠馬にふさわしいものがあり、今後ビッグレッドFやシンジケート会員の方々がどのような配合・生産をされていくか楽しみである。

アイルハヴアナザーの血統背景と現在の日本のマーケットの関係からすると、サンデー系牝馬との交配がもっともありそうなパターンだろう。

ただ、アイルハヴアナザーの血統は血の世代が非常に新しく、生まれてくる産駒からするとSadler's WellsやDanzigが5代目まで下がる形となる。

個人的には、血の古い繁殖牝馬にはそこそこ血の古い種牡馬を当てて、血の世代にあまり隔たりがないようにするほうが、結果的にはレースに行って好結果に繋がるのではないかと考えている。

逆もまた然りで、血の世代の新しいアイルハヴアナザーには、繁殖牝馬のほうにもある程度血の世代が進んだものが良いという気がする。

具体的には、サンデーサイレンス牝馬にアイルハヴアナザーという配合も、サンデーの遺伝力を頼れば十分に好配合になる可能性はあるが、それよりも息子の例えばスペシャルウィークの肌馬に交配するほうが世代的には好ましい。

スペシャルウィーク牝馬に配合すると、アイルハヴアナザーの持つNorthern Dancer系の血脈が活きるほか、マルゼンスキー≒CaucasusやVaguely Noble≒セントクレスピンといったダイナミックな近親・相似クロスもできる。

いずれにしても、初年度産駒の血統パターンおよび馬体の出来に注目である。
[ 2013年02月23日 19:23 ] カテゴリ:種牡馬 | TB(-) | CM(0)


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