私的血統論

馬産地・日高地方から競走馬の血統を考察するブログ
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Orb(G1ケンタッキーダービー)

Orb

今年のケンタッキーダービーは、Sloppyと呼ばれる馬場に水が浮くコンディションのなかで開催された。

そんな馬場のなか、勝ったのは1番人気のオーブOrb。

スタート直後から中団よりやや後方に待機する形になったが、3コーナーあたりからじわじわと進出し、直線に向かってからは力強く抜け出して優勝した。

父のMalibu Moonは米国で2戦1勝。

2戦目の未勝利戦を勝った後に膝に故障を発生、そのまま引退して種牡馬入りしている。

米国の種馬場にて実馬を見た際には、確かに脚元の不安を感じさせる馬体ではあったものの、その種牡馬成績は素晴らしく、すでに9頭もの米G1勝ち馬を輩出している(5月30日時点)。

米国のセリ市などでMalibu Moon産駒を見ることがあるが、脚元に関しても母側の良いところを受け継ぐ馬が多い印象を受けた。

9頭の米G1勝ち馬のうち、5代内でMr.Prospector、Raise a NativeもしくはNative Dancerのいずれかがクロスしている馬が8頭に上る、というデータは興味深い。

これはMalibu Moonの血統において、父A.P.Indyが持つBold Ruler3×4と、母Macoumbaが持つNative Dancer3×6が関係しているからだと思われる。

Bold RulerとNative Dancerはニックの関係にあり、現代においてA.P.Indy系がMr.Prospector系と相性が良いのも、このニックを強化する血統パターンになるからだろう。

Native=Bold

いずれも母がDiscoveryの娘でありPompeyを持つ点で共通していることは、上記血統表で参照できると思う。

この他に直父系にも血統的親和性があり、Native Dancerの3代父SickleがPhalaris×Chaucer牝馬の組み合わせを持つのに対し、Bold Rulerの3代父Pharosもまた同系配合という関係にある。

このような血統背景から、Malibu Moonと配合する際にはNative Dancerか、あるいはそれと血統的親和性の高いBold Rulerのラインを強化する手法が好ましい。

Orbの血統を見てみると、Native Dancerのラインを4本持っているのと同時に、その孫Mr.Proscpectorを3×4でクロスさせている。

加えて、Bold Rulerも5・6×5のラインブリードでクロスさせていて、私から見るとまさにMalibu Moon産駒の成功パターンと言える血統の持ち主だ。

特にOrbの血統においては、上記5代表を見てもわかるように、Mr.ProspectorとBold Rulerを息子と娘を経てクロスさせている。

このように性的にリンクしたクロスは自分好みの配合手法で、例えば息子同士を経てクロスさせるより遺伝効果が高いのではないかと考えている。

Bold RulerとNative Dancerの影響が強いと思われるMalibu Moonにとって、Orbの4代母Laughterの存在はかなり重要だったかもしれない。

彼女は、Bold Ruler×Native Dancer牝馬の組み合わせから生まれていて、Malibu Moonの血統的特徴を生かすには最適な血統パターンを持つ。

ちなみにLaughterは“悲劇の名牝”Ruffianの4分の3姉にあたる。

血統的にはRuffianのほうが繁殖牝馬として上ではないか思える血統をしているだけに、彼女が繁殖牝馬になる前にこの世を去ったのは残念でならない。

ただ、Laughterに関してもPrivate Termsを輩出したり、孫の代からコロナドズクエストが出るなど、その枝葉はある程度の拡がりを見せている。

ところで、OrbはA.P.Indy系種牡馬×Unbridled牝馬という組み合わせなので、現在米国で人気種牡馬として繋養されているTapitと同系配合ということになる。

Orb=Tapit

ダブルコピー牝馬Gana Facilの息子であるUnbridledを母父に持つことは、競走馬としてのみならず種牡馬としても有効だろう。

その血を受けて大きな心臓を持つことができれば、その因子を自身の牝駒に受け継がせることができるからだ。

Orbの母Lady Libertyがダブルコピーかどうかは微妙なところだが、Unbridledの娘なので少なくともシングルコピー牝馬ということになる。

そして、Orbの競走成績を見る限り、その心臓サイズが大きな心臓を伝えるUnbridledに由来する可能性はあると考えている。

特に、ケンタッキーダービーにおける3コーナーあたりからの追い上げ方は、Unbridledの現役時を思い出す。

あのレース振りから、Unbridledから馬体的・血統的な何かを受け継いでいるような印象を受けたのは私だけだろうか。

米国のマーケットでは、A.P.Indy系もUnbridled系も人気があるので、Tapit同様このOrbも将来期待の種牡馬として重宝されるのかもしれない。



ところで、今回からニックネームを『G』に変更させて頂きます。

理由はわかる人にはわかるでしょう。(笑)

この件に関するご質問はご容赦願います。また、ご質問を頂いてもご返信出来かねますので、あらかじめご了承下さい。
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[ 2013年05月30日 20:46 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

Dawn Approach(G1英2000ギニー)

Dawn Approach

5月4日に行われたG1英2000ギニーは、無敗で全欧2歳牡馬チャンピオンに輝いたDawn Approachが、今季初戦となるこのレースを5馬身差をつけて圧勝した。

英国BBCのサイトによると、どうやらG1英ダービーに向かう模様。

父New Approachが英ダービー馬である点を評価しての出走だろうか。

ゴドルフィンのレーシングマネージャーによると、レースで掛かるようなところもなく操縦性の高い馬であるそうで、芝12Fという距離に関しても問題もないとのこと。

そのDawn Approachの血統であるが、いつもなら父母の血統パターンに触れてから本馬の話しに進むのが通常の流れだ。

ただ今回は、Dawn Approach自身の血統パターンの部分が長くなりそうなので、父母それぞれの血統に関しては割愛する。

Dawn Approachの血統ですぐ目に付くのは、Northern Dancer≒Icecapade≒AlydarによるNearco/Natice Dancerのニックを活かした組み合わせである。

これらの血脈は、Dawn Approachの血統においては4×4*4に位置する。

また、Rose Bower≒Sun Colonyもメジャーな血の組み合わせだ。

Rose=Sun

いずれも、Nasrullah/Princequilloというニックの血脈を持つ。

前記2つの相似な血のクロスは、比較的わかりやすいタイプのものだと思うが、自分がDawn Approachの血統で一番注目しているのはGalileo≒Phone Trickによる相似な血のクロスである。

Galileo=Phone Trick

一見すると、相似な血の関係には見えないかもしれないが、順を追って整理していきたい。

①Mr.Prospector≒Finnegan(Over the Phoneの父)の関係

Mr=Finnegan

この2者はNasrullah≒Royal Chargerができるのに加えて、Teddy系種牡馬×American Flag牝馬の組み合わせによるRaise You≒Last Waveもあり、血統的親和性が高い。

②Hopespringseternal(Miswakiの母)≒Prattle(Over the Phoneの母)の関係

Hope=Prattle

2者を血統表に並べただけではBusanda≒Mr.Busherしかないようにも見えるが、実際にはBlenheim、BullDog(Sir Gallahad)、Pharamond(Sickle)を持つ点でも共通していて、それなりに相似な血の関係にある。

③Miswaki≒Over the Phone(Phone Trickの母)の関係

Miswaki=Over

これは単純に①+②の結果を受けてのものである。

そして、最後に④Sadler's Wells≒Clever Trickの関係がある。

Sadlers=Clever

互いの父がNorthern Dancer≒Icecapadeという関係に加えて、母系にはDjeddahを持つ点で共通する。

自分がGalileo≒Phone Trickと見なしているのは、これら①~④の血統背景を受けてのものである。

ここまでの調べでは、早熟傾向にあるPhone Trickの影響が強いように思われ、その意味では3歳春以降あるいは中長距離の適性にやや疑問を感じてしまう内容ではある。

それに加えて、実はこの馬、一部で話題になっているスピード遺伝子検査の結果を公表している馬でもある。

結果はC:Cタイプ、すなわち短距離適性のある馬だというのだ。

この検査を行った会社の設立にDawn Approachを管理するJ・ボルジャー師が関わっていることを考慮すると、このスピード遺伝子検査の宣伝も兼ねての公表だったのだろうか。

ただ、C:Cと公表しているのにも関わらず、英ダービー出走という選択をしたことをどう捉えるべきか。

現在、この馬の共同オーナーとなっているゴドルフィンの意向が働いたのか。

あるいは、C:Cタイプと公表している馬が英ダービーを制することで、『高いレベルで持続するスピードを持つ馬』として、将来種牡馬になったときに宣伝する青写真でも描いているのか。

もちろん、スピード遺伝子のタイプは確定診断とはならないので、C:Cが中長距離では絶対活躍できないとは言い切れない。

いずれにしても、今後Dawn Approachの陣営がどのようなレース選択をしていくのか注目したい。
[ 2013年05月07日 20:20 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(1)

フェノーメノ(G1天皇賞(春))

フェノーメノ

今年のG1天皇賞(春)は、圧倒的1番人気のゴールドシップがまさかの5着に敗退、勝ったのは自分の競馬に徹して最後は力強く抜け出した2番人気のフェノーメノだった。

同じステイゴールド産駒ということで、確かにある程度の長距離適性は備えていたとは見なせる。

特に父ステイは筋肉の柔軟性に優れていて、遅筋の量も程よく多そうな馬体だし、小柄な割りには胴伸びもある。

フェノーメノの場合、母父デインヒルの筋肉質の力強い感じを受け継いでいるようにも見せるが、ただ胴に関しては父ステイの伸びを感じさせる。

それでも、写真やテレビ越しに見ると『明らかに長距離向き』というよりは、どちらかといえば中距離タイプに見せるような、自分から見るとちょうど良い馬体である。

あえて、フェノーメノの馬体的長所を挙げるならば、写真を見る限りは胸の深い(心肺機能が強い)体型であるところか。

フェノーメノの母父デインヒルは、Xファクターの考え方からすると大きな心臓を自身の牝駒に伝えられる種牡馬だと思われる。

フェノーメノの母ディラローシェは牝馬なのでX染色体を2本持つ(XX)が、1本はデインヒルから受け継ぐので、ディラローシェは少なくともシングルコピー牝馬であるはずだ。

もう1本のX染色体はディラローシェの母Sea Portから受け継いでいるが、この牝馬が大きな心臓を産駒に伝えられるダブルコピーもしくはシングルコピーかは、何とも言えないところだ。

Sea Port

例えば、Sea Portが持つNearco3×5はいずれもハートライン上にあるクロスで、その遺伝効果も大きいかもしれない。

また、Nearcoのハートラインを調べても、Xファクターの根幹ともいえる牝馬Pocahontas(1837)に遡ることができるラインはあるものの、特筆すべき程度のものではない。

原著を読んでみても、このラインが大きな心臓の遺伝に深く関わっている旨の説明も見たことがない。

そういうことを考慮すると、自分の現時点での知識からはディラローシェはシングルコピー牝馬としか見なせない。

ただ、このディラローシェという牝馬の血統パターンはなかなかのものである。

自身の持つNearco5×4*6およびRibot4×4は、“息子”と“娘”を経たクロスであり、自分好みの配合手法でもある。

また、相似な血のクロスという観点からすると、母系(Sea Port)にTudor Minstrel≒Court Martialがあるほか、Petitioner(Danzigの2代母)≒Felucca(ディラローシェの5代母)もある。

Petitioner≒Felucca

この2つの血脈は、直父系がFairway=Pharosという関係に加えて、母の父がFelstead(英ダービー)である点で共通している。

また、上記の血脈に関連してFiar Trial≒El Greco(Ribotの母の父)という関係にも注目しておきたい。

Fiar Trial≒El Greco

両者の父はFairway=Pharosであり、母の父がBay Ronald系、さらには2代母の父がSundridge系という点まで共通している関係だ。

このような興味深い血統背景を有するディラローシェと、父ステイゴールドとの間の仔として生まれたフェノーメノは、一体どのような血統パターンを持つのか。

ステイゴールド産駒の血統を調べたことのある方々なら、当たり前のように知っているかもしれないが、やはりLady Angela≒Alibhaiの関係は見逃せないだろう。

Lady Angela=Alibhai

この相似な血のクロスはFrankelに見るGalileo×BMSデインヒルのニックのなかでも紹介したが、この2つの血脈は父がHyperionで母の父がTracery系である点で共通している。

おそらくはLady Angela≒Flower Bowlと見なすことのほうが多いのだろうが、それはSwynford系の血を持つ点でも共通するからだろう。

ただ、私からするとLady Angela≒Alibhaiのほうがシンプルで分かりやすいので、そう捉えるようにしている。

また、Natalmaクロスを通じて2本のAlmahmoudを持つBMSデインヒルに対して、サンデー系種牡馬を交配するという配合手法は、いずれ注目されるだろうと思っていた血統パターンである。

自分のなかでは、その先駆けともいえる存在がシックスセンスであり、こちらもフェノーメノと同じく追分ファーム生産馬だ。

その意味では、追分ファームはサンデー系×デインヒル系によるAlmahmoudラインの強化を率先して行っているように思われ、事実フェノーメノの半弟・半妹もサンデー系種牡馬を父に持つ。

フェノーメノの血統をもう少し詳しく語るなら、全体にPharos=Fairwayの全きょうだいクロスの影響が強いということだろうか。

特にTurn-to、Princely Gift、Danzig、Averof、Anchorといった馬たちは、フェノーメノの血統においては5*5×3*3*3の位置に配されているが、彼らはそれぞれ自身の血統の5代内にPharos=Fairwayを持っている。

また、Princely Giftの母Blue GemはAnchorの2代母Kyakと血統的親和性が高く、一方でKyakはディクタスの2代母Dulzettaとも組み合わせのクロスの関係にある。

Blue Gem=Kyak

Dulzetta=Kyak

こうして見ると、確かにステイゴールド×ディラローシェという配合は優れた血統パターンであるように思える。

それでも、ディラローシェの観点から配合を考慮すると、さらにその血を活かせそうな種牡馬がどこかにいるのではないかという気もしてしまう。

違う言い方をすると、この父母による配合は良配合だが、どうもベストマッチという気がしない。

ただ、そういう“遊び”の部分は、種牡馬になった際にプラスに働くのかもしれない。

実際、ステイ産駒にしては馬格も十分で、種牡馬になっても人気が出そうな印象だ。


最後に、最近になって、過去記事を有料ブロマガ形式にて公開という形にさせて頂いた。

『お金を払ってまで見ようとは思わない』という方々が大半だろうとは思う。

ただ、このブログは私的な血統ノートという意味合いが強く、また様々な事情を考慮してこれがベストという結論に至った。

最新記事に関しては、“公開”という形にさせて頂くのでご容赦願いたい。
[ 2013年05月01日 20:34 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)


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