私的血統論

馬産地・日高地方から競走馬の血統を考察するブログ
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ジャスタウェイ(GⅠ天皇賞・秋)

ジャスタウェイ

今年の天皇賞(秋)は、近走惜敗続きだったジャスタウェイが、最後の直線でこれまでの鬱憤を晴らすかのような見事な末脚で優勝。

2着ジェンティルドンナに4馬身もの差をつけての快勝だった。

そのジェンティルドンナは久々の分“りきみ”があったのか、またスタートが決まりすぎたのか、直線ではジャスタウェイにあっさり交わされてしまった。

それでも、前々で競馬していたなかで上位に残っていたのはこの馬くらいで、負けて強しの内容だった。

能力的には間違いなくトップクラスなので、次走で大きく巻き返しそうな気がする。

さて、そのジェンティルドンナを退けて優勝したジャスタウェイ。

父ハーツクライにとっては、待望のGⅠ勝ち馬誕生である。

ハーツクライはサンデー×トニービン牝馬の配合であるが、この組み合わせではサンデーの2代母Mountain Flowerが持つHyperion3×4とトニービンが持つHyperion5×3・5による、Hyperion系血脈の強化が一つの特徴だ。

この血統的特徴から察するに直線の長い東京コース向きの馬かと思いきや、GⅠ有馬記念やGⅠドバイシーマクラシックの優勝、そしてGⅠKジョージ6世&QエリザベスSで3着するなど、その競走成績からはパワーと底力にあふれた印象を受ける。

そうなると、Hyperion系以外の血統的特徴があるのではないか。

そして、それはNothirdchance≓My Bupersによる米血脈の組み合わせが大きく作用しているように思える。

Nothirdchance=My Bupers

ハーツクライの血統で4×3でクロスするこの2頭は、Blue LarkspurとMan o'WarそしてSir Gallahadを持つ点で共通している。

特にBlue Larkspur×Man o'Warという限定的な見方ではBlue Swords≓Busandaを形成し、またBlue Larkspur×Sir Gallahadという視点ではNothridchance≓Revokedと見ることも可能だ。

要は、それだけ血統的親和性が高い関係なのだ。

ハーツクライ産駒の活躍馬の特徴として、母側に米血脈を持つタイプが多いことに気付いている方々もいらっしゃるだろう。

例えばハーツクライ産駒の重賞勝ち馬は、ギュスターヴクライを除いて、父ハーツクライが持つNothirdchance≓My BupersのうちBlue Larkspur×Sir Gallahad(Bull Dog)を活かした血統パターンを持っているはずだ。

ギュスターヴクライはNothirdchance≓My Bupersのうち母方Relicの血脈を活かすことで、Blue Larkspur(Black Toney系)×Man o'Warの組み合わせを形成するほか、Hyperion系ラインの強化も図った血統パターンを持つ。

では、ジャスタウェイはどのタイプに属するかというと、その血統パターンを考察する限りハーツクライの持つHyperion系の血脈とNothirdchance≓My Bupersのどちらの特徴も活かした、言うなれば“いいとこ取り”の血統の持ち主だ。

Hyprion系ラインの強化という点では、ジャスタウェイの母父Wild Againの血が影響しているように思える。

Wild Again

この馬は、Hyperionを娘と息子を経て性的にリンクしたHyperionクロスを4×3で持っている。

さらにWild Againの2代父Nearcticと、母Bushel-N-Peckが持つNearco/Hyperionのニックは注目すべきで、これはハーツクライが持つHornbeamやGulf Streamと血統的親和性が高い。

一方、父ハーツクライの持つNothirdchance≓My Bupersの活かし方だが、ジャスタウェイの血統においては自身の4代母Blue DoubleがこのNothirdchance≓My Bupersと相似な血を形成する。

Nothirdchance=Blue Double

上記血統表でわかるように、Nothirdchanceが持つBlue Larkspur×Sir Gallahadの組み合わせを、Blue Doubleの母父Blue Gayもまた保有するという関係にある。

My Bupers=Blue Double

My Bupers≓Blue Doubleにおいてはさらに血統的親和性が高く、両者はDouble JayとRevokedを持つ点で共通するほか、Revoked≓Blue Jayという関係も存在する。

ジャスタウェイの母シビルは米血脈が強い血統の持ち主で、上記のように米血脈が活かされていることも影響してか、某誌の立ち写真を見る限りジャスタウェイは少し短めで立ち気味の繋ぎをしている。

その脚元からは少々馬場が渋ってもこなせそうなイメージを持ってしまうが、今回の馬場も良馬場まで回復したようだが、結果的に何かしらの影響があったのだろうか。

さて、父と同じく古馬になって完成の域に達した感のあるジャスタウェイ。

次走がどこなのかはまだ知らないが、血統を考察した限りでは、これまで選択してきた8F~10Fあたりが適距離のような気がする。
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[ 2013年10月28日 19:38 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

Treve(GⅠ凱旋門賞)

Treve

10月のオータム・繁殖馬の各セールも終わり、1歳馬の移動と当歳馬の離乳もやっと落ち着いてきた。

そろそろ、ブログに時間を割こうと思う。

そこで菊花賞馬を取り上げるつもりでいたが、以前アップしたエピファネイアが人気に応えて優勝したので、今回は多少遡るが凱旋門賞馬Treveの血統を考察したい。

実は『サラブレ10月号』の凱旋門賞有力馬ファイルのなかで、同馬については触れさせてもらったのだが、今回はもう少し詳しく書かせて頂く。

それにしても、オルフェーヴルをあれだけ引き離しての圧勝劇には驚いた。

サラブレ誌上の血統評価では4項目中3項目に◎を打ち、有力馬の一頭と評価したが、父の種牡馬実績に不安を感じたため底力だけは〇評価に止めた。

ちなみにサラブレに掲載されていないが、もし自分が日本馬2頭を血統評価するなら、以下のようになっていただろう。

オルフェーヴル スピード:◎ スタミナ:◎ 瞬発力:◎ 底力:◎
キズナ     スピード:◎ スタミナ:〇 瞬発力:◎ 底力:◎

オルフェーヴルは血統的にはまったく隙のない、いかにも能力の高そうな血統パターンである。

唯一短所を挙げるなら、それはおそらく気性面であり、父ステイゴールドで母の父がパーソロン系のメジロマックイーンという血統背景からは紙一重の気性を感じる。

それでも、彼の競争成績を見る限り、その気性さえもレースではプラスに働いているように思える。

一方、キズナの血統に関しては『サラブレ8月号』でも触れさせてもらったが、個人的には優れた血統パターンを持つディープの良血馬というイメージを持っている。

ただ、唯一の懸念はスタミナ面で、日本の素軽い馬場なら12Fは守備範囲と考えているが、ヨーロッバの芝なら11Fくらいまでかなと感じていた。

前哨戦の仏GⅡニエユ賞(12F)を制しているが、日本ダービーのときとは逆で、最後は差されそうなゴール前だった。
仮に、今年の菊花賞に出走していても自分ならエピファネイアのほうを本命視するだろう。

絶対能力の高さである程度はカバーできるだろうが、本質的に3000Mという距離は長すぎると思う。

それなら、天皇賞・秋のほうが距離的にもコース的にも合っているし、古馬相手でも本命視したいくらいの実力馬である。

結果として、キズナ陣営は凱旋門賞挑戦を選び、そして4着に敗れはしたが、日本のダービー馬として誇れるレース振りだった。

さて、そういう日本馬たちを相手に圧勝したのが3歳牝馬Treveだ。

その父Motivatorは2歳時に英GⅠレーシングポストトロフィーを、3歳時にはGⅠ英ダービーを制した実力馬で、今は亡き名種牡馬Montjeuの後継種牡馬の一頭である。

Motivator

その血統は、母系に存在するNativa DancerとMixed Marriageの組み合わせ、すなわちGone West≓エタンの組み合わせクロスが最大の特徴だろう。

さらにMotivatorのハートライン上には、その血統と子孫の繁栄具合からダブルコピー牝馬だと思われるSecrettameやLady Be Goodの名前もあり、遺伝的にこの種牡馬は牝駒の活躍馬を輩出しやすい血統パターンを持つ。

実際、Motivator産駒でGⅠ勝ち馬はTreveを含めて2頭のみだが、もう一頭のGⅠ馬も牝駒である。

その馬Ridasiynaは、仏GⅠオペラ賞を勝っている。

Ridasiyna

そして、これら2頭の代表産駒に共通する血統的特徴として、母側にNever Bendの血脈を持つ点が挙げられる。

Sadler's Wells系×Never Bendを持つ馬の配合は相性が良いが、それはBold Reason≓Never Bendの近親クロスができるためだろう。

Bold Reason=Never Bend

両者は半兄弟の関係で、さらに父系を遡るとRoyal ChargerとNasrullahの名前に行き着くが、この2頭は血統的に4分の3同血の関係にある。

そのため、Bold ReasonとNever Bendは血統的親和性が高いのだろう。

特にTreveの場合は、母系にある2本のRivermanを通じてNever Bendも2本持つので、よりSadler's Wells系種牡馬との相性が良いものと推測される。

そして、この2本のRivermanのポジションがまた良い。

2本ともいわゆるハートライン上に存在するのだ。

こういう血統パターンを持つ繁殖牝馬(Treveの場合は、その母Trevise)は、競争成績が優れていなくても、繁殖牝馬としては大成することがある。

Treveの場合は、2本のRivermanに加えて同じNasrullah/Princequilloのニックを持つSecretariatもハートライン上に持っている。

このように、ハートライン上で近親クロスや相似な血のクロスを形成する配合も、普段生産の現場で配合デザインに携わっている自分としては、好んで用いたい配合手法の一つだ。

トレード額が800万ユーロとも言われているTreveだが、今や凱旋門賞を優勝して最高クラスの栄誉を手にしたことで、その評価の妥当性を自ら示した。

加えて、その血統パターンからは繁殖牝馬としても大きな魅力を感じる。

個人的には、もしTreveが母になったら、彼女の世代で一度プールさせた母系のRivermanクロスを今度はRivermanを持つ種牡馬を配合することで、再びそのラインを強化する(クロスさせる)という血統パターンも有効ではないかと思っている。
[ 2013年10月25日 19:08 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

『サラブレ』11月号に寄稿

『サラブレ』11月号誌上にて、ヨハネスブルグの種付頭数の推移に関する記事と、産駒の配合的特徴に関する記事を寄稿させて頂きました。

http://www.enterbrain.co.jp/product/magazine/sarabre/13002611

興味のある方は、ご購読下さい。

先月まで2番牧草の収穫、そして今月に入ってからオータムセールや1歳馬の育成場への移動などに加えて、最近はジェイエスの繁殖馬セールの購買候補馬の選定(結局、買わないかもしれませんが)をしている関係で、こちらの更新が滞っています。

牧場さんそれぞれで繁殖牝馬の選定基準は異なるのでしょうが、少なくとも私の場合は血統パターンが良いこと、ウチのシンジケート株に合いそうな血統であること、そして何より実馬を見て購買してもいいと思える馬体・気性のレベルにあることが重要だと考えています。

今年は約240頭の上場を予定している模様。頭数的にも立派なセールになりそうです。

今週中には繁殖馬セールの調査も終了する予定ですので、ブログ更新はそれからということにさせて頂きます。
[ 2013年10月15日 20:04 ] カテゴリ:お知らせ | TB(-) | CM(0)


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