私的血統論

馬産地・日高地方から競走馬の血統を考察するブログ
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トーセンラー(GⅠマイルチャンピオンシップ)

トーセンラー


今年のGⅠマイルチャンピオンシップは、直線で素晴らしい末脚を見せて他馬を圧倒したトーセンラーが優勝。

前走が2400MのGⅡ京都大賞典、また今年は天皇賞・春にも出走しているトーセンラーが、GⅠの舞台でマイル戦を戦うというのは調整も含めて難しい面もあっただろう。

さすがはリーディング上位の藤原英厩舎、そして見事トーセンラーを優勝に導いた武豊騎手もGⅠ通算100勝という偉業を達成している。

トーセンラーの父はディープインパクトであるが、このブログでディープ産駒を扱うのはハープスターとデニムアンドルビーに続いて、3頭目になる。

ハープスターとデニムアンドルビーの記事では、ディープ産駒は父ディープが持つAlzaoの血統的特徴から、産駒の母側にNorthern DancerおよびNearco/Prince Roseのニックから成る血脈が存在すると活躍する傾向にあることを指摘した。

血脈の具体例を挙げればStorm Catやラストタイクイーン、Caerleon等がいるが、この血統パターンを持つ血脈は意外に多く、ディープ産駒の勝ち上がり率の一翼を担っている感がある。

その観点から見た場合、トーセンラーはこの血統パターンには該当しないことに気付く。

私の知る限り、母プリンセスオリビアの血統内にNearco/Prince Roseのニックは存在しないのである。

ただ、ディープ産駒のもう一つの成功パターンである、Hyperion系の血脈の強化という点では、トーセンラーは該当する血統馬だ。

ディープは、Mountain Flower(Hyperion3×4、サンデーサイレンスの2代母)とHighlight(Hyperion3×2、ディープインパクトの4代母)という、Hyperionの影響が強い血脈を2本持っている。

一方、トーセンラーの母プリンセスオリビアは、Sadler's Wells(Hyperion4×4、トーセンラーの2代母の父)とVaguely Noble(Hyperion3×4、トーセンラーの3代母の父)の2本を持つ。

Hyperionのラインは持続するスピードを伝える傾向にあるので、このラインが強い血統パターンを持つ馬は、息の長い末脚を持っている場合が多い。

ここまでは父ディープを主体とした考察をしてみたが、「心臓の大きさはX染色体を通じて遺伝する」とされるXファクターの観点でトーセンラーの血統を考察する場合、母プリンセスオリビアの血統のほうが重要になってくる。

プリンセスオリビア

プリンセスオリビアの5代表に黄色でマーキングしているのは、Xファクターの観点から大きな心臓を伝えることのできる種牡馬、もしくはシングルコピーと思われる牝馬たちだ。

また、ピンクでマーキングされたのはダブルコピーと推定される牝馬である。

こう見ると、プリンセスオリビアの母Dance Imageはすべてのハートライン上で色付けされているのがわかる。

これは、Xファクターの考え方からすると、Dance Imageはダブルコピーの可能性があることを意味する。

では、その娘であるプリンセスオリビアもダブルコピーかと言えば、判断は難しいところだ。

父Lyciusの血統を見る限り、確かに大きな心臓を伝えるであろうラインは存在するが、私の考えではそれも1本のみ。

これをもって、Lyciusは大きな心臓を伝えることができる種牡馬だと言い切るのは、やや無理がありそうな気がする。

「Lyciusの仔は牝駒のほうが圧倒的に活躍する」というデータがあるのなら、上記のような考え方も可能だろうが、私の知る限りLycius産駒にそのような傾向はないはずだ。

そういう意味では、過度に高い評価を与えることはできないプリンセスオリビアの血統なのだが、牝馬Goofedをハートライン上でクロスさせている血統パターンには、思わず好感を抱いてしまう。

特にこの牝馬クロスは、私が好きな“息子”と“娘”を経た形でクロスしていて、高い遺伝効果が期待できる。

牝馬クロスは瞬発力の強化につながる傾向にあるが、このクロスは息子トーセンラーの血統でも継続された。

さらにトーセンラーの血統では、Goofedの息子Lyphardも“息子”と“娘”を経た形でクロスしているのだが、このLyphardクロスも母側の1本がハートライン上に存在する点は興味深い。

トーセンラーはGoofedのほかに、父ディープが持つAlmahmoudの牝馬クロスも継続させた血統パターンを持つ。

マイルチャンピオンシップで見せたあの末脚も、Hyperionの持続するスピードと牝馬クロスによる瞬発力がもたらした成果なのだろうか。

父に似てそれほど馬格には恵まれていないようだが、こうして血統を考察してみると、この馬、将来種牡馬になったら結構面白い存在になる気がする。
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[ 2013年11月20日 19:41 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

ハッピースプリント(交流GⅢ北海道2歳優駿)

ハッピースプリント

メーデイアに続き、旬な記事ではないかもしれないが、今回は北海道2歳優駿を制したハッピースプリントを取り上げたい。

前走H3サンライズCを制したことで、今レースでは圧倒的な1番人気に支持されたハッピースプリント。

結果、2着に2馬身差をつけての快勝だった。

中央勢4頭が出走するなか、道営勢が1、3、4着したことは評価されるべきだろう。

これも、昨年から供用開始された坂路効果によるものか。

道営勢は、例えばこのレースで4着したニシノデンジャラスが鎌倉記念を勝っているように、地方競馬のなかではレベルの高い馬が多い。

そのなかでも、とりわけ期待度が大きいのが勝ち馬ハッピースプリントだろう。

日高の名門・辻牧場によるオーナーブリーディングホースであることも、日高を応援する立場としては嬉しい。

さて、そのハッピースプリントの血統に目を向けると、まず気になるのが父アッミラーレの存在だ。

アッミラーレもまた、浦河の名門牧場である酒井牧場の生産馬である。

アッミラーレは、サンデー直仔でありながらダートを主戦場としてOP特別などを制しているが、残念ながら重賞勝ちはない。

にもかかわらず種牡馬にするあたりは、関係者の慧眼によるものだろう。

アッミラーレの血統で注目すべきは、アッミラーレの3代父Hail to Reasonと3代母Spring Sunshineによる相似な血の関係である。

Hail to Reason=Spring Sunshine

互いの2代父Royal ChargerとNasrullahが4分の3同血であるほか、それぞれの母がSir Gallahad(Bull Dog)系×Blue Larkspur系である点も共通していて、血統的親和性が非常に高い関係にある。

このHail to Reason≓Spring Sunshineは、アッミラーレの血統では3×3のポジションに位置していて、同馬の血統パターンの中核を為す存在になっている。

そういう観点からアッミラーレ産駒の勝ち馬たちの血統を見てみると、なかなかに興味深い。

例えば稼ぎ頭であるトキノエクセレントは、父アッミラーレにとって重要な血脈であるHail to Reasonを4×4でクロスさせているほか、Spring SunshineについてはBramalea(Robertoの母)とともに7/8同血クロスを形成し、父の持つHail to Reason≓Spring Sunshineによる相似な血のクロスを強化している。

トキノエクセレントの血統パターンは、アッミラーレを配合する際に参考にできるものだ。

というのも、繁殖牝馬がRoberto(父Hail to Reason、母Bramalea)を持っているだけで、アッミラーレのHail to Reason≓Spring Sunshineという血統的特徴を活かせるからである。

もう一つ、アッミラーレの血統的特徴を活かそうとする場合、面白いと思えるのがMr.Prospectorを持つ繁殖牝馬に配合するパターンだ。

ハッピースプリントの母マーゴーンが、この血統背景を持つ。

すなわち、マーゴーンの父Dayjurから見て母父にあたるのがMr.Prospectorなのである。

そして、そのMr.Prospectorの母Gold Diggerと、アッミラーレの持つHail to Reason≓Spring Sunshineとの間には相似な血の関係が存在する。

Hail to Reason=Gold Digger

Spring Sunshine=Gold Digger

上記血統表ではHail to Reason≓Gold Digger、Spring Sunshine≓Gold Diggerという比較で見て頂くことになるが、要はRoyal Charger≓NasrullahおよびSir Gallahad(Bull Dog)系×Blue Larkspur系のニックの存在という点で共通しているわけだ。

この血統的特徴に加えて、ハッピースプリントの血統はサンデー系×Northern Dancer系牝馬ということで、しっかりとAlmahmoudの牝馬クロスも持っている。

その意味では、アッミラーレ産駒として優等生的な血統パターンの持ち主である。

母マーゴーンの血統に関してはIllutrious、SecreatriatそしてClassy Quilloという3本のNearco/Prince Roseのニックから成る血脈が存在することも、無視できないファクターだろう。

この血をハッピースプリントの代でも活かそうとするなら、父アッミラーレ側にもNearco/Prince Roseのニックを持つ血脈が求められるが、遠い世代ながら辛うじてRoyal Gunnerの名前を見つけることができる。

これをもって、マーゴーンの血をよく活かしているというのは、やや強引な感があるだろう。

欲を言えば、アッミラーレの血統でもう少し近い世代で、それでいて複数のNearco/Prince Roseがあるとなお良かった。

それでもハッピースプリントは、交流GⅢをあっさりと勝ってくれた。

逆にそういうところ(血統を超えたと思わせる強さ)に、大物感を抱かせるのである。

これからどれだけの成長と成績を残してくれるか大変楽しみなハッピースプリント。

まずは全日本2歳優駿の舞台で、2歳ダート№1の座をかけてレースに臨むことになりそうだ。

[ 2013年11月11日 21:13 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

メーデイア(GⅠJBCレディスクラシック)

メーデイア

今年のJBCは、同日にGIを3レースも施行するという日本で初めての試みだった。

結果、売り上げも上々だったようで何よりである。

そんななかで、牝馬GⅠJBCレディスクラシックを制したのがメーデイア。

これで交流重賞5連勝となったわけだが、今回のレース振りもとにかく強かった。

父キングヘイローにとっては、カワカミプリンセスとローレルゲレイロに続く、3頭目のGⅠ勝ち馬輩出となった。

カワカミプリンセス

ローレルゲレイロ

キングヘイロー産駒の活躍馬における血統的特徴は、大きく3つに分けられると考えている。

まず第一に、母側にNorthern Dancerの血脈が存在するパターンで、この場合キングヘイローの持つNorthern Dancerとクロスする形になるほか、Haloとも呼応してAlmahmoudの牝馬クロスを形成する。

日本におけるAlmahmoudクロスの有効性はサンデー産駒で実証済みなので、当然キングヘイロー産駒においても、このクロスは長所だと考える。

第二に、キングヘイロー産駒の勝ち馬には母側にNasrullahの血脈を持つパターンも多い。

キングヘイロー自身はNasrullahを持っていないのだが、この血脈と近親関係にあるRoyal ChargerとMahmoudを複数持つ点には留意すべきだ。

     ┌Nearco
Nasrullah
     | ┌Blenheim
     └Mumtaz Begum
       └Mumtaz Mahal

        ┌Nearco
Royal Charger
         | ┌牡
        └牝 
          |  ┌Blenheim
          └Mumtaz Begum
            └Mumtaz Mahal

     ┌Blenheim
Mahmoud
     | ┌牡
     └牝
      └Mumtaz Mahal

この3者は快速牝馬Mumtaz Mahalの血統的影響を受けてか、一般的にはスピード血脈として知られている。

そのうちのRoyal ChargerとMahmoudを豊富に持つキングヘイローが、Nasrullahクロスを持つ牝馬と相性が良いことは容易に想像できる。

最後に、キングヘイロー産駒は母側にNearco/Prince Roseのニックが存在すると好走する傾向にあり、これを活躍馬の第3の血統パターンとして指摘しておきたい。

例えば既述のGⅠ勝ち馬カワカミプリンセスやローレルゲレイロ、さらに重賞勝ち馬ゴウゴウキリシマはその母系にNearco/Prince Roseのニックを持っている。

特にGⅠ馬カワカミプリンセスはSeattle SlewとSecretariatの2本を、またローレルゲレイロについてはForeseer、Kalamoun、Mill Reef、ボールドラッドの計4本のNearco/Prince Roseから成る血脈をその母系に有する。

この特徴には個人的に注目していて、キングヘイローと配合する際には、その繁殖牝馬がNearco/Prinse Roseを持つか否かを一つの指標にしている。

そういう観点からメーデイアの母ウィッチフルシンキングの血統を見てみると、彼女もまたNearco/Prince Roseから成るSir Gaylordを1本持っていることに気付く。

メーデイアはSir Gaylord5・5×4を持つことで、このニックを強化する血統パターンになった。

Sir Gaylordを絡めてもう少しマクロな視点でメーデイアの血統を見ると、Drone≓Sir Ivor≓Lord Avieという関係も見えてくる。

この3つの血脈はSir GaylordとPharamondそしてMahmoudを持つ点で共通していて、非常に血統的親和性が高い。

そして、その関係にキングヘイローの母父Haloの血脈を加えても良いだろう。

HaloもまたTurn-to(Sir Gaylordの父)、Pharamond、Mahmoudを持っているからである。

Drone≓Halo≓Sir Ivorの組み合わせが最大の血統的特徴であるキングヘイローに、それら3者と血統的に相性の良いLord Avieを有するウィッチフルシンキングを配合するというのは、非常に興味深い血統パターンである。

仮にメーデイアが引退して繁殖牝馬になったら、サンデーの血を持たない血統背景に加えて、サンデー系種牡馬と配合した場合にはHaloが息子と娘を経た形でクロスする血統パターンになるのが好ましい。

将来、彼女が母になったら、そういう配合にも注目してみたい。
[ 2013年11月09日 20:48 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)


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