私的血統論

馬産地・日高地方から競走馬の血統を考察するブログ
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タールタン(銀蹄S)

タールタン

異例の火曜日開催となった1600万下の銀蹄S。

優勝したのはタールタンだったが、その勝ち時計がタイレコードとなる1:21.9。

このタイムには恐れ入った。

ただ、それよりも気になったのはタールタンの血統である。

父のTapitは、米国で実馬を見て以来、個人的に気に入ってる種牡馬の1頭だ。

力強い首に丸味を帯びた筋肉量豊富な四肢は、父Pulpitに共通するものがある。

一方で、父に比べると少し重心が高く映ったが、これは母父Unbridledの影響だろう。

一番印象に残ったのは彼の歩様で、A.P.Indy系らしく繋が立ち気味だったので歩様も硬めかと思ったが、いざ歩き出すとバネの効いた柔らかい歩様を見せてくれた。

き甲から尻にかけての背中のラインもシャープで、私好みの種牡馬である。

彼の馬体と歩様を見たとき、ボリュームのある馬体ではあるものの、日本でも活躍馬を出しそうな柔軟性があると思ったものだ。

実際にTapitは、タールタンのみならずテスタマッタをはじめとして、中央で10頭が出走して8頭が勝ち上がるという好成績を収めている。

ただ、日本の競馬に適応するには父に似てやや重めの馬体に出ているのだろうか、中央での勝ち鞍は全てダートによるものであり、唯一の例外はテスタマッタによる新馬戦勝ち(京都芝1600)だけのようだ。

さて、Tapitは持っている血脈も良く、さすがに15万ドルの種付料を誇る種牡馬だけのことはある。

Tapit

このようにMr.Prospector3×4は私好みの息子と娘を経たクロスの形態を成し、Nijinsky5×3は母系の1本がハートライン上でクロスする。

In Realityに至っては、母Tap Your Heels内でクロスする形で2本ともハートライン上に位置する。

Tapitのハートライン上でクロスしているNijinskyとIn Realityは、いずれも大きな心臓を伝える優秀な血脈として原著『The X Factor』で紹介されている。

さらに、Tapitの母父Unbridledも優れたX染色体を伝える種牡馬だと見なされており、これらの血統背景からTapit自身大きな心臓を有していると推測することができる。

事実、『The X Factor』の第3巻ではTapit自身のハートスコアも掲載されており、その圧倒的に高い数値からこの種牡馬が高い心肺機能を持っていることが証明されている。

Xファクターの考え方では、Tapitの大きな心臓は牝駒のみに受け継がれるが、それを裏付けるかのように米国においては牝馬のGI勝ち馬が誕生している。

残念ながら、日本におけるTapit産駒の勝ち馬は牡馬に限定されているのだが、今後は牝駒の活躍馬が出てくることも予想されるし、生産牧場に身を置く立場としては母父としても大いに注目している種牡馬だ。

次にタールタンの母Indian Townに話題を移そう。

Indian Townは米国で2戦して着外に終わっている。

ちなみに、いずれのレースもダート6Fであった。

繁殖牝馬としても、タールタン以外にこれといった活躍馬はいないようだ。

ただ、彼女の血統パターンには注目すべきものがある。

Indian Town

まず、In RealityとThe Axeを生かしたMoon Glitter≓All I Axe Forによる相似クロスがある。

さらにIn Realityの血をサポートすべく、その母My Dear Girlとその全妹Me Nextによる全姉妹クロス4×4・4があるのだが、このうち2本はハートライン上に位置する。

注目すべきはMy Dear Girlがダブルコピーとして知られる牝馬という点だ。

当然、その息子In Realityも大きな心臓を伝える種牡馬として見なされる。

ではMy Dear Girlの全妹Me Nextもダブルコピーなのかというと、この点は正直疑問に感じている。

実際、Me Nextの牝系はタールタンのほかに、日本ではG2日経新春杯3着のファンドリリヴリア(6勝)やタニノダーリン(5勝)、海外でも米G2勝ちのIts Academicなどがいるのだが、My Dear Girlの牝系ほどの活躍は見せていない。

それでもハートライン上で全姉妹クロスさせるという配合手法は非常に興味深く、競走能力とりわけスピードや瞬発力の強化という点では有効ではないだろうか。

さて、この特殊な血統パターンを持つIndian TownにTapitを配合したのがタールタンである。

タールタンの血統では、母が持っていたMoon Glitter≓All I Axe Forを、Moon Glitterを直接クロスさせることで強化する配合手法を用いている。

このMoon Glitterという牝馬はあまり聞かない名前かもしれないが、Relaunchの全姉と言ったらわかりやすいかもしれない。

Moon Glitterの牝馬クロスは、うち1本がハートライン上に位置し、高い心肺機能をもたらした可能性があるほか、牝馬クロスらしい強烈な瞬発力も遺伝したかもしれない。

今回、最後の直線で見せた末脚には、この牝馬クロスが影響しているのではと感じてしまう。

タールタンの生産者は、ある程度この血統パターンを狙っていた感がある。

というのもタールタンの他に、Indian TownにCity Zipを配合することでRelaunch=Moon Glitterの全きょうだいクロスを試していたり、Real Quietを配合してBelieve It3×3を作り出し、My Dear Girl=Me Nextを強化する血統パターンを試している。

狙わなければ、このような血統パターンにはならない。

私が調べた限り、タールタン以外は活躍していないようだが、それだけにタールタンには天稟を感じている。

血統に裏付けされた瞬発力を持つダート馬なので、ダート6F~8Fあたりでは重賞も狙える器だと思う。
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[ 2014年02月23日 17:13 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

デスペラード(GⅡ京都記念)

デスペラード

本日開催されたGⅡ京都記念は、6番人気のデスペラードが逃げ馬がいないメンバーの中で積極策をとって先頭に立ち、直線では一度交わされるも盛り返して、最後は力強く抜け出して優勝。

これで有馬記念7着を挟んで、GⅡステイヤーズSに続く重賞2勝目を挙げたことになる。

ネオユヴァーズ×トニービン牝馬の配合から生まれたデスペラード。

この配合で生まれた活躍馬上位2頭、すなわちデスペラードとジョウーメテオはいずれも新ひだか町の田中裕之氏の生産である。

おそらく、この配合パターンが手の内に入っているのだろう。

自分も、配合や生まれた産駒の育て方を含めて、ある程度手の内に入っていると感じている牝系がある。

血統的に、どの系統を強化すると活躍馬を輩出する傾向にあるのか。

馬体的に、どの程度のボディコンディションをキープすると育成場でも順調に成長する傾向にあるのか。

気性的に、どのように接すると人間と良い関係を築くことが多いのか。

そういうことにある程度自信を持っている牝系が、牧場にいる。

さて、デスペラードに話しを戻して、まずは父ネオユニヴァースについて。

馬体的には、サンデー系のなかでもある程度ボリューム感のあるしっかりとした体つきで、飛節が曲飛の産駒が多い印象を受ける。

曲飛が良いか悪いかは人それぞれ考え方があるとは思うが、サンデーの血を受け継ぐ産駒には曲飛の馬は少なくなく、そのなかに活躍馬も含まれていることを考えると、個人的にはあまり短所だとは思わない。

ネオ産駒はなかなかに気性が激しい馬が多いのだが、これはネオの母系にSicambreやWild Riskのような血脈が入っているためだろうか。

一方で、競走能力に関係ありそうな血脈としては、Hyperionのクロスが目立つ。

特にサンデーの2代母Mountain FlowerがHyperion3×4を持ち、ネオの母ポインテッドパスがHyperion5×4を持っているという血統背景からは、Hyperion系を強化するような配合が有効な手法として考えられる。

もう一つ、ネオの血統で注目したいのがGulf Stream≓Barley Cornの関係だ。

Gulf Stream=Barley Corn

いずれもHyperion産駒であり、母系にはSwynfordの名前も見られる。

この2頭の関係は、ネオから見ると5×5の位置でクロスしている。

さて、今度はデスペラードの母マイネノエルの血統を見てみよう。

こちらはトニービン、そしてGraustark=His Majesty3×3を持つマイネキャロルの存在により、全体にHyperion系が強い血統パターンを持つ。

これはネオユニヴァースの血統的特長を生かせるものであり、その意味でデスペラードには父母の血統的相性の良さがある。

特にトニービンの存在は大きく、この血脈はNasrullah系のラインも強く持っていて、マイネキャロルのやや重厚な血脈に柔軟性と瞬発力を与える形で、マイネノエルに貢献している。

Xファクターの観点から見てもマイネノエルの血統パターンは大変優秀で、トニービンやブライアンズタイム、Northern Dancer、His MajestyそしてDamascusと、優れたX染色体を産駒に伝えることのできる血脈が代々配合されてきた。

マイネノエルが持つ血統背景とデスペラードやロジサンデー(4勝)、マイネルナタリス(2勝)も輩出してきた事実を考慮すると、彼女はおそらくダブルコピーなのだろう。

その優秀な母から生まれたデスペラードは牡馬なので、母から優秀なXを受け継ぎ、それに関連するであろう優れた心肺機能を有するに至ったのではないか。

血統パターンという点では、Silken Way≓KhairunissaおよびShauntung≓Loreleiによる相似な血のクロスが面白い。

Silken Way=Khairunissa

Silken Way≓Kharuinissaの関係では、いずれもPrince Bio系種牡馬×Palestine系牝馬の組み合わせであり、さらに母系にNearcoを持つ点でも共通している。

Shantung=Lorelei

一方、Shantung≓Loreleiについては、いずれもPrince Rose系種牡馬×Hyperion牝馬の組み合わせという共通点がある。

Silken Way≓KhairunissaおよびShauntung≓Loreleiの関係は、ネオユニヴァース×トニービン牝馬の配合では必ずできる血統パターンである。

そのため、気性的にはやや難しい面があるかもしれないが、血統的にはHyperion系の強化という点も含めて大変相性の良い配合だと思っている。

また写真で見る限り、この馬はネオ産駒にしては曲飛には映らず、曲飛を馬体的にマイナスと捉えるホースマンからすると、デスペラードを評価する要因の一つにするかもしれない。

以前は出遅れ癖もあったようだが、近走はそれも解消されて成績が高いレベルで安定してきたデスペラード。

春の大目標は天皇賞になるのだろうが、今日のようにジェンティルドンナやトーセンラーを破って優勝できるほどの実力なら、本番も有力候補の一頭に数えられるべきだろう。

[ 2014年02月16日 21:24 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)


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