私的血統論

馬産地・日高地方から競走馬の血統を考察するブログ
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サトノクラウン(GⅢ東京スポーツ杯2歳S)

サトノクラウン

月曜開催となったGⅢ東京スポーツ杯2歳Sは、1番人気のアヴニールマルシェをクビ差交わした持ち込み馬のサトノクラウンが優勝。

ディープ産駒らしく直線よく伸びたアヴニールマルシェだったが、それを差し切るのだから大したものだ。

父のMarjuは、日本ではあまり馴染みのない種牡馬である。

英GIのセントジェームズパレスS(8F)を勝っている馬であるが、この種牡馬の場合は母が愛国の名牝Flame of Taraで、半姉に英1000ギニー・オークスのほか愛ダービーなども制した名牝Salsabilがいる点が魅力だ。

Mayjuの血統には、有名なニックを用いるなどの顕著な配合手法は見当たらないが、Mill Reef≒アーテイアスやIrish Lass≒Welsh Pageantといった相似クロスは存在する。


Mill Reef=アーテイアス

Irish Lass=Welsh Pageant

Mill Reef≒アーテイアスについては両者ともPrincequillo、Djebel、Hyperionを持つ点で共通している。

また、Irish Lass≒Welsh Pageantに関しては両者ともFair WayとHurry Onを持つ点に加えて、Sayajirao=Danteの全きょうだいクロスができる。

このように、一見するとそれほど血統的相性が良くなさそうなラストタイクーンとFlame of Taraであるが、彼らを両親に持つMarjuから見るとそれなりの血統パターンに仕上がっている。

一方、サトノクラウンの母ジョコンダの血統に目を向けると、なかなかに興味深い血統パターンをしている。

彼女の牝系に代々配合されてきた種牡馬は、一般的にはそれほど評価が高くないだろう。

ただ、、種付料の安い種牡馬とはいえ、彼女の父Rossiniや母父Vettoriの2頭は血の質が非常に高く、それぞれの母であるTouch of Greatness≒Air Distingueは相似クロスの関係にある。

Touch of Greatness=Air Distingue

上記血統表に示したように、いずれもNorthern Dancer、Sir IvorそしてPrincequilloを持つ点で共通しているのがわかる。

サトノクラウンの牝系は、この牝系にVettoriが配合されたLa Jocondeの代から活気づいてきた感があり、そこにRossiniが配合されてジョコンダというレベルの高い牝馬が生まれた。

Rossini、Vettoriの2頭は、Xファクターの観点から牝系を強化できる血脈であり、近い世代に血統的親和性も認められるこの2頭が配された効果は大きいと考える。

ジョコンダという優れた母から生まれたサトノクラウンの配合は、全姉に英GIチェバリーパークSを勝ったLightening Pearlがいるなど、すでに成功している血統パターンを持つ。

ジョコンダが持っていたTouch of Greatness≒Air Distingueは、そのなかの血脈のNorthern DancerやNearco/Prince Roseの血脈を、2代父に同じ傾向を持つラストタイクーンを迎えることで、その血統傾向を継続させることに成功している。

あるいは、ラストタイクーン≒Rossiniという見方もできるだろう。

ラストタイクーン=Rossini

2頭ともNorthern Dancer、Buckpasser、Princequilloを持つ点で共通している。

さらに、Nearco/Prince Roseのニックから成る血脈が3本(Mill Reef、Rose Bower、Sir Gaylord)存在するなど、ラストタイクーン≒Rossiniの血統的親和性は高い。

実馬は見ていないが、テレビ越しに見たサトノクラウンは2代父ラストタイクーンの雰囲気を感じつつも、その割にはしっかりとした体つきのように映った。

英国タタソールズの繁殖セールで何頭かMarjuを父に持つ繁殖牝馬を見たことがあるが、そのときはラストタイクーンの肌馬よりもMarjuを通じたほうが少しゴツい感じの馬体に出るなと思った。

そういう意味では、父似の馬なのだろうか。

鞍上の話しでは「距離は2000Mかそれ以上でも」とのことらしいが、短距離GIを制した全姉がいるものの、血統的には確かに2000M前後が合いそうな血統パターンをしている。
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[ 2014年11月25日 17:10 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

スマートグレイス(新馬戦)

スマートグレイス

血統を勉強をする多くの人たちが、おそらくその勝ち馬の血統に注目したのではないか。

先週、京都で行われた新馬戦(ダ1200)で8馬身差をつけて圧勝したスマートグレイス。

彼女は、上記の血統表を見てわかるように、ダイナミックな血統パターンの持ち主だ。

このブログで何度か紹介しているXファクターという考え方があるが、その理論に沿えばCourtly Deeの4×3のクロスが、いわゆる「Xライン上のクロス」であることがわかる。

ちなみに米年度代表繁殖牝馬にも選ばれているCourtly Deeは、Xファクター理論においては「ダブルコピー牝馬」と呼ばれていて、特別な血脈と見なされる。

このCourtly Deeという血脈は、Hail to Reasonと相性が良い血なのかもしれないと、皐月賞馬ノーリーズン(父ブライアンズタイム)やその半弟で重賞2勝のグレイトジャーニー(父サンデーサイレンス)を調べたとき感じたものだ。

ノーリーズン

Hail to Reason=Courtly Dee

Hail to Reasonが持つMan o'WarやSir GallahadをCourtly Deeも持つという関係に加えて、この2者にはRoyal Charger≒Nasrullahもあり血統的親和性が高い関係と言える。

相似クロスという観点からスマートグレイスの血統を見るならば、Althea≒トワイニングという捉え方もできるだろう。

このような血の用い方は、スマートグレイスの半姉アイラブリリの血統にも見られる。

アイラブリリ

Althea≒トワイニングとは用いている血脈が異なるが、Mr.Prospectorを保有していたりNasrullahクロスを持つという共通点からFire the Groom≒トワイニングという相似クロスが存在する。

母チーキーガールズに、現時点ではそれほどメジャーとは言えないヤマニンセラフィムを配合したという事実からは、Courtly Deeクロスを狙ったかのような印象を受ける。

現在の日本競馬界では、ディープインパクトのような優れた種牡馬の産駒が活躍している。

そういう状況のなかで、スマートグレイスのような創造性に溢れた血統パターンの持ち主が圧勝するというのは、血統や配合に携わる立場としては大変意義のあることだと感じている。

[ 2014年11月20日 20:47 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

トーホウジャッカル(GI菊花賞)

トーホウジャッカル

スペシャルウィークにとっては、牡駒による初の芝GI勝ち馬ではないか。

GI菊花賞は、ダービー馬ワンアンドオンリーが1番人気に推されるなか、勝ったのは重賞勝ちのないトーホウジャッカルだった。

他にも数頭の重賞勝ち馬が出走するなかで3番人気だったトーホウジャッカル。

いくら重賞勝ちがないとはいえ、多くの競馬ファンの方々がこの馬のポテンシャルに注目していたのだろう。

改めて彼の血統を見てみると、確かに牝系も良く優れた血統をしている。

父のスペシャルウィークについては、このブログで母父としては取り上げたことがあるが、父としては初めてかもしれない。

最近は以前ほどの種付頭数をこなしていないが、それでも本馬やウインフルブルームなど活躍馬を出し続けていて、改めて能力の高い種牡馬なのだと再認識した。

その血統は、サンデー×マルゼンスキー牝馬という配合で、Halo≒Nijinsky≒Buckpasserによる相似クロスができるのが血統的特長である。

ただ、スペシャルウィークに高い芝適性を与えたのはGulf Stream≒セントクレスピンによる相似クロスなのかもしれない。

Gulf Stream=セントクレスピン

この2つの血脈は、スペシャルの血統では5×3の位置でクロスしている。

そして、上記の血統表を見ると両者は父系がHyperion系、母父がFairway(Pharos)系、さらには2代母の父がSwynford系という点まで共通していて、血統的親和性が高い関係だと言える。

上記2つの血脈のように、Hyperion系×Nearco(あるいはその父Pharos(Fairwayも含む))系のニックから成る血脈を多く持つ馬は、比較的芝適性が高いのではないかと個人的には考えている。

もちろん、それは血統面だけに限った話しであり、実際には体質などを含めた馬体面も重要であることは言うまでもない。

例えば、芝GIの勝ち馬であるシーザリオは母父Sadler's WellsがNearco/Hyperionのニックを2本持つ血脈である。

また、ブエナビスタは母父Caerleonの直父系Nearctic(Nearco×Hyperion牝馬)のほかに、Sticky Case(Lord Gayleの母)がFairway系×Hyperion牝馬の組み合わせを持つ。

一方、ダートGIを勝っているミラクルレジェンドやゴルトブリッツなどは、Nearco×Hyperionの血脈を持ってはいるが、同時に高いダート適性を伝えるBuckpasserクロスを持つなど、成績通りダート馬らしい血統パターンをしている。

これらのスペシャルウィーク産駒の傾向を踏まえた上で、トーホウジャッカルの母トーホウガイアの血統に注目してみる。

彼女の父Unbridled's Songは個人的に好きな血脈で、バンドワゴンの過去記事でも触れた。

その記事のなかで、Unbridled's Songを持つ馬を考察するときは、うまくLucky Melを生かしているか否かがポイントになることを指摘した。

その観点から、トーホウガイアの母Agamiを見ると、彼女の2代父にLucky Melと血統的親和性のあるNorthern Dancerの名前を見つけることができる。

Lucky Mel=Northern Dancer

Lucky Mel自身がHyperion/Nearcoのニックを持つが、Northern Dancerの父Nearcticも同じニックを持つ。

さらに、両者の2代母の父がいずれもMahmoudという点も同じだ。

視点を変えると、Unbridled's Songの血統はNorthern Dancerの血脈と相性が良い可能性があるということだ。

この点は、来春から供用開始されるダンカークの配合にも活かせるかもしれない。

トーホウガイアの血統に話しを戻すと、Lucky Mel≒Quiet Charmという相似クロスも存在する。

Lucky Mel=Quiet Charm

こちらもNearco、Hyperion、Mahmoudを持つ点で共通している。

上記の関係から、トーホウガイアの母AgamiがNorthern Dancer≒Quiet Charmという相似クロスを持っていることがわかる。

そこには、息子と娘を経たNearctic3×3というアクセントの効いたクロスがあって、この牝系の特徴の一つになっている。

日本でも、Agamiの全姉でマル外として活躍したスリーエフの牝系が枝葉を伸ばしていて、コンスタントに勝ち馬が出ている。

ここまで考察してきた限りでは、トーホウガイアにはNorthern Dancerを持つ種牡馬が好ましいと言えそうだ。

半姉で重賞勝ち馬のトーホウアマポーラについては、父がNorthern Dancerを持たないフジキセキなのだが、この血統の場合はミルレーサー≒Gana Facilによる4分の3同血クロスがアクセントを与えている。

スペシャルウィーク×トーホウガイアから生まれたトーホウジャッカルの場合は、母の血統的特長を活かすべくNorthern Dancerをクロスさせる血統パターンになった。

これにより、Unbridled's Song内Lucky Melやジャッカルの4代母Quiet Charmの血を活かすことに成功している。

また、父スペシャルウィークが持っていたHyperion/Nearcoの活かし方についても、母トーホウガイアがNearcticを2本とLucky Mel、さらにSpecialも持っていることから、父の産駒のなかでも芝適性の高い血統パターンに仕上がった。

血統的には、スペシャルウィーク産駒のなかでも良血馬に入るトーホウジャッカル。

成長力も見込めそうな血統でもあり、またGI馬とはいえキャリアも浅いことから、古馬になればさらにパワーアップした姿でGI路線を盛り上げてくれそうだ。

この原稿を書いているなか、アドマイヤラクティ急死のニュースを目にした。

前回のブログで扱ったばかりで、これからのさらなる飛躍を期待していただけに、今はただご冥福を祈りたい。
[ 2014年11月03日 05:32 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)


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