私的血統論

馬産地・日高地方から競走馬の血統を考察するブログ
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キタサンブラック(GⅠ菊花賞)

キタサンブラック

先週はジェイエスの繁殖馬セールに参加。

夏から続いてきた競りシーズンも、海外セールを除けばこれで一段落ということになる。

今年は随分と忙しかった気がする。

その分、セールにおいてはある程度の売却率を残すことができたし、1歳世代においては一通り行き先が決まってくれた。

今度は当歳世代、そして来年の繁殖シーズンと繋がっていく。

離乳も終えて少し時間もできたので、ブログのほうにも時間を割いてみたいと思う。



さて、先週開催されたGⅠ菊花賞では、ブラックタイド産駒のキタサンブラックが優勝。

馬主は大野商事であるが、「キタサン」の冠名からわかるように、一般的には北島三郎氏の持ち馬として知られている。

同氏にとっては、初のGⅠ制覇とのこと。

長い馬主ライフのなかで、初GⅠがクラシックというのは大変嬉しいものだろう。

キタサンブラックは購買馬とのことだが、日高地方の牧場に繁殖牝馬をおいてオーナーブリーディングも行っており、個人的には手広くサラブレッドビジネスを展開している印象を受ける。

そのキタサンブラックだが、父のブラックタイドはGⅡスプリングSの勝ち馬でGⅠ勝ちはない。

というより、おそらくはディープインパクトの全兄としてのほうが知られているかもしれない。

ブラックタイドとディープインパクトのほかに、これらの全弟にあたるGⅢ東京スポーツ杯2歳S3着のオンファイアがいる。

この全兄弟3頭は、馬体的にそれぞれ異なる特徴を持つ。

ブラックタイドは馬格がちょうど良く、馬っぷりの良いタイプで、3頭のなかで一番馬が良いと評する生産者が多い。

産駒の勝ち上がりは、芝・ダートの割合が2:1であり、日本の競馬体系によく合っている種牡馬だと言える。

ディープインパクトはブラックタイドよりは小柄で、柔軟性と瞬発力を兼ね備えた馬体であり、牡馬ではあるが牝馬の切れ味に近い末脚を持っていた。

ディープ産駒の勝ち上がりは、9:1でダートよりも芝のほうが圧倒的に高いが、父譲りの瞬発力を活かすという意味では芝のほうが良いのだろう。

オンファイアは、全兄弟3頭のなかで一番ゴツいタイプの種牡馬である。

代表産駒のウキヨノカゼは芝馬であるものの、産駒の勝ち上がりはダートのほうが勝ち数が多く、実際にパワータイプの産駒が生まれることが多い。

このように馬体的にそれぞれ異なった特徴を持つ3兄弟だが、彼らの持つ血統的特長として以下の3点を挙げておきたい。

まずは、Halo≒Sir Ivorによる相似クロスである。

Halo=Sir Ivor

上記血統表から、いずれの血脈もTurn-to、Pharamond、MahmoudそしてSir Gallahadを持っている点がわかる。

3兄弟の血統では2×4の位置でクロスするHalo≒Sir Ivorの組み合わせは相性が良く、ジョリーズヘイローやグッバイヘイローの血統にも見られる配合手法だ。

次に、Mountain FlowerとHighlightの関係について言及しておきたい。

Mountain Flower=Highlight

Mountain Flowerはサンデーサイレンスの2代母であり、Highlightはウインドインハーヘアの3代母であるが、この2つの血脈はHyperionのインブリードを持つ点で共通している。

この3兄弟を種牡馬として考えた場合、Hyperionの強いこの2つの血脈も比較的重要だと個人的には感じている。

この2つの血脈を活かすべく、今回のキタサンブラックは母方にノーザンテースト(Lady Angela2×3を通じてHyperionを2本持つ)を持っている。

また、ディープインパクト産駒のGⅠ勝ち馬であるトーセンラー、スピルバーグの場合は、2代母Dance ImageがHyperionクロスを持っている。

オンファイア産駒のウキヨノカゼも、母方にHyperionの影響が強いSadler's Wellsを持つ。

ただ、3兄弟の血統的特長のなかで、一番ポイントとなるのは、3つ目の特長として挙げるGulf Stream≒Court Martial≒Petitionの関係かもしれない。

Gulf=Court=Petition

3つの血脈を比較しやすくするため、1つの血統表のなかに押し込んだ。

いずれの血脈もFairwayとGainsbouroughを持っていることがわかる。

Gulf Streamはサンデーサイレンスの母方に、Court Martialはウインドインハーヘアが4×5で持ち、Petitionもウインドインハーヘアが1本持っている。

このほかに、Royal ChargerとNearcticも既述の3つの血脈と血統的親和性が高い。

Royal Charger=Nearctic

こちらはNearcoとGainsbouroughを持つ点で共通する血脈であるが、Nearcoの父PharosはFairwayの全兄なので、これら5つの血脈がともに血統的親和性の高い関係だと言える。

ちなみにRoyal Chargerはサンデーサイレンスの直父系であり、Nearcticはウインドインハーヘアの直父系にあたる血脈だ。

これら5つの血脈の関係をうまく活かして配合されているのがキタサンブラックであり、ジェンティルドンナであり、トーセンラーとスピルバーグの全兄弟たちである。

彼らの血統に共通するのは、Lyphardクロスを持っていることである。

Lyphard

Lyphardという血脈は、血統表を見てわかるように、Court MartialとNearcticというブラックタイド、ディープインパクト、オンファイアの兄弟にとってポイントとなるFairway(Pharos)とGainsbouroughの血を有している。

これを活かすべく、彼らの産駒たちはLyphardクロスを持つことで父の血統的特長を受け継いで、結果として高い競走能力を手に入れた。

また、Lyphardと類似した血統傾向を持つ血として、Danzigにも注目すべきだろう。

Danzig

DanzigもNearcticとPetitionを持っているので、3兄弟の種牡馬との配合においては、有用な血脈と言えるかもしれない。

そういう意味では、ジェンティルドンナの血統パターンは理に適っている。

ジェンティルドンナ

彼女の血統は、母がDanzigとLyphardというディープインパクトと相性の良い血脈を2つも持っていて、そのような血統パターンが彼女に高い競走能力を与えたのではないか。

さて、すっかりブラックタイド、ディープインパクト、オンファイアの血統話になっていたが、今回のテーマがキタサンブラックであることを忘れてはならない。

そういうわけで、今度はキタサンブラックの母シュガーハートの血統を考えてみよう。

シュガーハート

私にとって、彼女の血統における最大のポイントはVictoria Park5×4である。

加国産のVictoria Parkは、同国の重要なレースであるクイーンズプレートS(10F)などに優勝して、カナダの年度代表馬に選ばれた名馬である。

ただ、今回私が注目したのは、その血というよりもVictoria Parkがクロスしている位置にある。

このクロスは、私がこのブログ上で何度か扱ってきた、いわゆるXライン上のクロスに分類されるものだ。

こういうクロスを持つ繁殖牝馬は、母として成功しやすいのではないかと個人的には感じている。

実際、シュガーハートは不出走だったが、母としてキタサンブラックのほかにショウナンバッハも送るなど、すでに優秀な繁殖成績を収めている。

ショウナンバッハ

特にショウナンバッハの血統は、ノーザンテーストクロスを通じてVictoria Parkクロスをを強化する配合手法を用いている。

ちなみにショウナンバッハの持つノーザンテーストクロスは、母方の1本がやはりXライン上に位置している。

ショウナンバッハの場合は、このあたりも評価すべきポイントかもしれない。

Victoria ParkをXライン上でクロスさせた繁殖牝馬から活躍馬が出るというのは、キタサンブラックが初めてというわけではない。

GⅠ勝ち馬のなかでは、オレハマッテルゼなどがその好例である。

オレハマッテルゼ

GⅠ高松宮記念の勝ち馬オレハマッテルゼは、距離適性こそ異なるがサンデーサイレンス、ジャッジアンジェルーチそしてノーザンテーストを持つ点でキタサンブラックと共通している。

こうして見ると、キタサンブラックという馬の血統パターンは、Lyphardクロスを持った時点でブラックタイドの血をうまく活かすことに成功して、さらにはMountain Flower、HighlightというHyperion系の流れをノーザンテーストを当てることでさらに強化した。

また、Victoria ParkによるXライン上のクロスによって高い繁殖能力を持つ母から、上質の遺伝子を受け継いだと考えられる。

全体のクロスや血統傾向からすると、キタサンブラックの本来得意とする距離は中距離あたりなのだろう。

確かにやや脚長に見せる馬体ではあるし、気性面でも我慢が効くタイプのようなので、それらが菊花賞の優勝につながったとも思える。

それでも、本質的には中距離馬であるというのが私の見解であり、古馬になってから中距離GⅠでの好走を期待したい1頭である。

決して華やか血統の持ち主ではないが、血統パターンだけで見るなら、いかにも活躍馬らしい血統の持ち主と結論付けたい。



久々のブログ更新で、つい力が入ったために、随分と長々と書いてしまった。

来年の繁殖シーズンに向けて少し時間ができる時期でもあるので、その分ブログに回せたらと思っている。


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[ 2015年10月27日 20:50 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)


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