私的血統論

馬産地・日高地方から競走馬の血統を考察するブログ
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アイルハヴアナザー(米3歳牡馬チャンピオン)

アイルハヴアナザー


今月は種牡馬展示会があったので、種牡馬をどれか一頭取り上げようと思っていた。

ルーラーシップはいかにも人気が出そうだったし、ディープブリランテは父ディープよりも立派な馬体だったり、ダーレーで見たストリートセンスとキングズベストの2頭の実績馬も気になったりしたのだが…。

最終的に、自分は日高地方に住んでいるので日高のほうでスタッドインした新種牡馬アイルハヴアナザーを取り上げることにした。

2月19日にビッグレッドFの種牡馬展示会に顔を出して馬体を見学。

牧場としてはシンジケートに加入していないし、今年の配合予定にも入っていないのだが、何といっても米2冠馬である。

サンタアニタダービーとケンタッキーダービー、さらにプリークネスSと米3歳G1を3勝しているが、そのいずれも最終コーナーから加速して残り1ハロンでグンと切れる脚を使っての優勝。

種牡馬展示会では、ビッグレッドF社長が『フォーティナイナー系らしい瞬発力がある』と言っていたように憶えているが、このあたりのことを言及していたのだろうか。

クラシック路線でライバル馬だったBodemeisterは父にエンパイアメーカーを持ち、母系も米国血統の良血を凝縮したようなエリート血統の持ち主だ。

この2頭のレース結果や血統背景の構図は、昔のサンデーサイレンスとEasy Goerの比較を見ているようでもある。

アイルハヴアナザーの馬体に対する個人的な意見としては、柔らかさというよりは力強さを感じさせる馬体の持ち主だ。

また、長躯短背のタイプで仙椎あたりの角度に切れがあり、レース内容に見られるように末脚が切れそうな馬体だと感じた。

ただ、あとからスタリオンブックの写真を見た限りは、腰の切れは普通かなとも思う。



さて、本題のアイルハヴアナザーの血統のほうはどうなのか。

父Flower Alleyは、その父で人気種牡馬のDistorted Humorの後継種牡馬と目される一頭。

初年度からG1アッシュランドSを勝ったライラックスアンドレース、そして2年目にアイルハヴアナザーと2世代連続してG1馬を輩出している。

両馬とも日本に来てしまったので、米国におけるFlower Alleyの血脈としての繁栄という点では不安が残るが、現11歳でまだまだ現役を続けられる年齢なので、さらなる産駒の活躍が期待される。

Flower Alleyの血統表を見ると、まずMr.Prospector3×3が目につくと思うが、その血統パターンはこれでもかというくらいに相似による組み合わせのクロスに彩られている。

まずは、Flower Alleyの父Distorted Humorが持つMr.Prospector系×Northern Dancer系という成功パターンのニックを、母Princess Oliviaも持つと同時に母の父Lyciusもこのニックを持つという配合である。

個人的には母Princess Oliviaの血はMr.Prospector系種牡馬×Northern Dancer系牝馬という組み合わせよりも、Northern Dancer系種牡馬×Mr.Prospector系牝馬という血統パターンのほうが、Flower Alleyの血統バランスが良くなるとは思うのだが、それは言っても詮なきことか。

面白いのはPrincess Oliviaの持つLyphard≒Diamond Springの組み合わせだ。

Lyphard=Diamond Spring

Lyphardの母であるGoofedは、Diamond Springの2代母でもある。

この息子と娘を経たクロスというのは自分が好きな配合手法であるが、さらにこの2本のGoofedはいずれもPrincess Oliviaの、さらにはFlower Alleyのハートライン上に存在する。

原著『X FACTOR』のなかでGoofedがダブルコピー牝馬として紹介されていたとは記憶していないが、それでも良いクロスの配列だという気がする。

また、Lyphard≒Diamond Springについては、Lyphardの2代父Nearcticが持つNearco/Hyperionのニックを、Diamond Springの父Vaguely Nobleも持つという関係にある。

さらには、このLyphard≒Diamond Springの関係にDistorted Humorの母の父Danzigを加えることができるかもしれない。

DanzigもまたNearcticを持ちつつ、その母系にはLyphardとDiamond Spring同様にFiar Trialの血脈を有しているからだ。

もう一つFlower Alleyの血統で注目したいのが、Mr.Leader≒Bold Reasonの関係である。

MrLeader=Bold Reason

いわゆる4分の3同血という関係である。

Distorted Humor産駒で母系にBold Reasonがあれば成り立つこの相似クロスに興味が湧いて、その他にこのクロスを持つ活躍馬がいないか少し調べてみたが、Flower Alley以外ではG1ヒュマナディスタフHを含む重賞7勝のHystricaladyを見つけた程度である。

Mr.Leader≒Bold Reasonを持つ馬に限って言えば、米G1を2勝して種牡馬となったLion Heartの母系にこの両者の血脈が流れていて、その位置はLion Heartの母Satin Sunriseから見て1×3でクロスされている。



今度はアイルハヴアナザーの母Arch's Gal Edithに目を向ける。

この馬の父Archには、個人的に母の父としての可能性を感じている。

Archの母系であるAurora~Althea~Courtly Dee~Tulleと遡る血脈は、世界的にも有名な牝系であり、特にAltheaとCourtly Deeに関しては『X FACTOR』のなかでダブルコピー牝馬の可能性が指摘されている。

ちなみに、ジェンティルドンナの母の父BertoliniはArchの母Auroraと同血と見なされる血統の持ち主で、X FACTORの考え方からすると、ジェンティルドンナのハートライン上のいくつかにはダブルコピー牝馬が登場することになる。

ジェンティルドンナについては、今後取り上げる機会があるかもしれない。

Arch's Gal Edithの血統は、父Archだけが目立っているわけではない。

彼女の血統には、3本のNearco/Prinse Roseのニックが存在する。

kris=never=caucasus

3頭の血統を1つの血統表に押し込めているが、いずれもNearco/Prinse Roseのニックを有していて、Arch's Gal Edithの血統では2×3*3の位置で配されている。

このニックは日本の多くの繁殖牝馬に見られる傾向の一つでもあり、アイルハヴアナザーの配合を考える際には一つのポイントになりそうだ。

このほかに注目できるのが、Archの2代母AlthaとNever Knockの母Never Hulaによる組み合わせである。

Althea=Never Hula

いずれの血もNever BendとPolinesian系との組み合わせを持っている。

また、Narullah系×Polynesian系という見方まで視野を広げれば、Altheaの父Alydarがそのニックを持っているほか、Arch's Gal Edithの3代母Last Birdもこの組み合わせを有する。

Arch's Gal Edithの血統では、父Archを通じてハートライン上にダブルコピー牝馬が存在するという指摘はしたが、彼女の場合ダブルコピー牝馬はその他のハートライン上にも存在する。

すなわち、Pleasant Tapの母としてのNever Knock、そしてCaucasusの母としてのQuillの存在である。

いずれも原著『X FACTOR』のなかではダブルコピー牝馬として紹介されていたはずだ。

自分の見解では、Arch's Gal Edith自身がダブルコピーなのではないかとさえ感じている。

そういう意味では非常に魅力的な血統パターンを持つArch's Gal Edithであるが、彼女が昨年のファシグティプトン・11月セールに上場されたのには驚いた。

その年のケンタッキーダービー勝ち馬の母馬なのだから、日本なら到底考えられないことだ。

このあたりが、日米の繁殖牝馬の流通マーケットの懐の深さの違いといったところか。

ただ、セール結果としては95万ドルで主取りとなっているが、それで正解だと自分は思っている。

ブラックタイプという観点からすると、確かに他の優秀な繁殖牝馬との比較では劣るだろうが、この馬の持つ血統パターンと若さなら最低でも150~200万ドルの価値はあるように思える。



さて、最後にアイルハヴアナザー自身の血統である。

母Arch's Gal Eidthが持っていたAlthea≒Never Hula≒Last Birdによる組み合わせは、Nasrullah/Polynesianの組み合わせからなるものだったが、このNasrullah/Polynesianを持つ代表的な血脈はMr.Prospectorである。

その点、Mr.Prospector3×3を持つFlower Alleyは好ましい配合相手だったかもしれない。

Mr=Althea=Never=Last

それぞれNasrullah/Polynesianの組み合わせを持つ血脈であるが、これにNearco/Polynesianを持つNorthern Dancerとも血統的親和性があると見なせば、アイルハヴアナザーの血統には全部で10本のNearco/Polynesianの組み合わせによるクロスが存在する。

素軽いスピードを伝えるNasrullahと、パワフルな中距離スピードを伝えるNative Dancerの血脈を豊富に持つあたりは、いかにも米血脈という印象を受ける。

またアイルハヴアナザーはDanzig4×4を持つのも特徴的で、母系に1本あるDanzigはハートライン上に存在するのだが、『X FACTOR』ではDanzigもまた大きな心臓を伝える遺伝子を持つ種牡馬として紹介されていたと記憶する。

そして、アイルハヴアナザーの血統でもう一つだけ指摘しておくと、父Flower Alleyの持っていたMr.Leader≒Bold Reasonが、母Arch's Gal Edithの持つ2本のNever Bendと良い組み合わせになる。

Never=Mr=Bold

Bold ReasonとNever Bendの相性が良いのは、Sadler's WellsがMill ReefやRivermanと相性が良いことで実証済みだが、こうして血統を並べてみると3者ともNearco系種牡馬×Djeddah牝馬であり、牝馬のLalunクロスができるのも面白い。



改めてスタリオンブックで紹介されているアイルハヴアナザーの母系を参照する限りは、ライバル馬だったBodemeisterとはかなりの差を感じざるを得ない。

ただ、実際に持っている血脈や血統パターンは米2冠馬にふさわしいものがあり、今後ビッグレッドFやシンジケート会員の方々がどのような配合・生産をされていくか楽しみである。

アイルハヴアナザーの血統背景と現在の日本のマーケットの関係からすると、サンデー系牝馬との交配がもっともありそうなパターンだろう。

ただ、アイルハヴアナザーの血統は血の世代が非常に新しく、生まれてくる産駒からするとSadler's WellsやDanzigが5代目まで下がる形となる。

個人的には、血の古い繁殖牝馬にはそこそこ血の古い種牡馬を当てて、血の世代にあまり隔たりがないようにするほうが、結果的にはレースに行って好結果に繋がるのではないかと考えている。

逆もまた然りで、血の世代の新しいアイルハヴアナザーには、繁殖牝馬のほうにもある程度血の世代が進んだものが良いという気がする。

具体的には、サンデーサイレンス牝馬にアイルハヴアナザーという配合も、サンデーの遺伝力を頼れば十分に好配合になる可能性はあるが、それよりも息子の例えばスペシャルウィークの肌馬に交配するほうが世代的には好ましい。

スペシャルウィーク牝馬に配合すると、アイルハヴアナザーの持つNorthern Dancer系の血脈が活きるほか、マルゼンスキー≒CaucasusやVaguely Noble≒セントクレスピンといったダイナミックな近親・相似クロスもできる。

いずれにしても、初年度産駒の血統パターンおよび馬体の出来に注目である。
[ 2013年02月23日 19:23 ] カテゴリ:種牡馬 | TB(-) | CM(0)
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