私的血統論

馬産地・日高地方から競走馬の血統を考察するブログ
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キングズガード(栗東S)

キングズガード

久々となる今年最初の更新は、OP勝ち馬のキングズガードについて血統考察したい。

先週のG1ヴィクトリアマイルでは7歳牝馬のストレイトガールの優勝が衝撃的だったわけだが、個人的に興味を惹いたのが同日の京都のメインレース栗東Sを快勝したキングズガードのほうだったのである。

少し出遅れ癖があるようで、今回のレースでもスタート時はあまり行き脚がつかず、道中は中団よりやや後方だったが3~4コーナーでジワジワと進出。

直線に向いてからは、ダートながら1頭だけ次元の違う末脚であっさりと他馬を交わして優勝した。

レースだけ見れば、2着馬ポメグラメネイトが勝って然るべき内容だったと思うが、あれを差し切るのだから能力的には重賞級と見てよい。

父のシニスターミニスターは、A.P.Indy系種牡馬であり、ケンタッキーダービーの前哨戦である米G1ブルーグラスSを勝っている。

血統的には、Nearco/Prince Roseのニックを持つ血脈を7本持っていて、その血統パターンからは柔軟性を感じさせる。

また、Nasrullahの血を多く持ち、一方でそれと近親関係になるRoyal ChargerやMahmoudも持つことから、これらの組み合わせから生じるスピードもシニスターミニスターの長所である。

Hail to Reason6×5・5を持つのもこの種牡馬の特徴であるが、これとシニスターミニスターの母側にあるGold Diggerの血と併せて、相似クロスを形成している点も興味深い。

Hail to Reason=Gold Digger

それぞれの直父系であるRoyal ChargerとNasrullahが近親関係にあることは既述したが、この2つの血脈は母系にSir Gallahad=Bull DogとBlue Larkspurを持つ点で共通している。

シニスターミニスター産駒でOPもしくは重賞勝ちのある馬は、今回のキングズガードのほかにはインカンテーション(重賞3勝)とダブルスター(OPアルデバランS)しかいない。

このうち、キングズガードとインカンテーションはHail to Reason≒Gold Diggerを用いているほか、Nearco/Prince Roseの流れも継続強化している。

ダブルスターについては、Nearco/Prince Roseの血脈は継続強化しているが、Hail to Reason≒Gold Diggerはない。

シニスターミニスターは血統的に日本のスピード競馬に向いていると思っているが、極端に血の質が高いタイプではなく、このあたりが活躍馬をコンスタントに出すためにはポイントになってくる。

当たり前のことであるが、この点を補完しようとするならば、母側の血統で補うしかない。

というわけで、今度はキングズガードの母キングズベリーの血統に着目してみる。

彼女の最大の血統的特長は、米G1ソロリティS(6F)勝ちの牝馬Squanderの4×4だろう。

キングズベリー

キングベリーは、芝1200~1400で3勝を挙げた馬である。

実際、父がキングヘイローで母父がデインヒルであり、両馬ともスプリントG1勝ちがあることを考えれば、この配合から短距離馬が生まれるのは自然なことかもしれない。

ただ、Squanderのような短距離で実績を残した血脈をクロスの形で持っていることも、キングベリーの能力に少なからず影響を与えているように思える。

さらに、牝馬クロスはしばしば瞬発力を遺伝させる傾向にあるので、このあたりも短距離向きの芝馬という素地を作ったのかもしれない。

Squanderクロスに関しては、Xファクターの観点からも評価できる。

すなわち、Squander4×4のいずれの血脈もXライン上に位置していて、Xライン上のクロスという名馬の血統パターンにしばしば登場する配合手法が用いられている。

Xライン上のクロスという点で言えば、Squanderの父Buckpasserもキングズベリーの血統においては5×5・5でクロスしているのだが、3本ともXライン上でクロスしている点もキングベリーの血統的特長の一つだ。

特にこのSquander~BuckpasserによるXライン上クロスの流れは、キングズベリーにとって、今後キングズガード以外にも活躍馬を送り出せる可能性を感じさせるものだ。

キングズガードの牝系からは、彼以外に大物が出ていないようであるが、キングズベリーの産駒については今後も注目したい。

そのキングズベリーを母に持つキングズガードであるが、彼の世代になってからの血統的ポイントとして、2点ほど挙げておきたい。

1つはThe Prime Minister≒ダンシングブレーヴによる組み合わせである。

The Prime Minister=ダンシングブレーヴ

一見するとそれほどの関係でもないように思えるが、いずれも直父系にNorthern Dancerを持ち、母系にIllustricusやSir GaylordといったNearco/Prince Roseのニックから成る血脈が存在する点で共通している。

このように、「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックから成る血」という特徴を持つ血脈はStorm CatやAlzao、ラストタイクーンなど比較的多い。

前述したシニスターミニスター産駒3頭においては、インカンテーションの2代母の父Polish Precedent、ダブルスターの母父アサティス、そしてキングズガード内のダンシングブレーヴがこの特徴を備えた血脈に該当する。

シニスターミニスター産駒が上位クラスで活躍するには、この特徴を持つ血脈が母側に存在するほうが良いのかもしれない。

もう一つ、キングズガードの血統的ポイントとして取り上げておきたいのが、Lassie Dear≒Pound Foolishである。

Lassie Dear=Pound Foolish

いずれもBuckpasser系×Sir Gaylord系という組み合わせを持っていて、血統的親和性が高い関係にある。

Lassie Dear、Pound Foolishといずれの血脈も血の質が高く、シニスターミニスター産駒の競走能力強化という点でプラスに働くのではないだろうか。

同父のインカンテーションはダート中距離路線で活躍しているが、キングズガードのほうは母の持つ牝馬クロスなどもアクセントとなって、マイル以下のスピードレースで能力を発揮しそうな血統背景を持っている。

これだけの血統パターンであれば、重賞勝ちも近いだろう。
[ 2016年05月17日 19:07 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

ドレッドノータス(GⅢ京都2歳S)

ドレッドノータス

11月28日に開催されたGⅢ京都2歳Sは、ハービンジャー産駒のドレッドノータスがしぶとく伸びて接戦を制した。

同じ京都コースではあるが、これで芝2000で2戦2勝。

来年のクラシック路線でどこまで飛躍するか楽しみだ。

父のハービンジャーは、この世代が2世代目の産駒となる。

欧州の芝12Fで活躍した馬らしく、自身の産駒にも中長距離を得意とするタイプが多いようだ。

ディープインパクト産駒のように素軽く切れ味に富むタイプとは異なり、ハービンジャー産駒は今回のドレッドノータスのようにしぶとくしっかりと伸びてくる。

ハービンジャーの血統は、Northern Dancerの母Natalmaと、さらにその母Almahmoudという2つの牝馬クロスを持つ。

さらに、デインヒル≒Shareef DancerやBlushing Groom≒Beauneという特徴も併せ持つ。

デインヒル=Shareef Dancer

デインヒル≒Shareef Dancerに関しては、父系がNorthern Dancerが遡り、母方にはTom Foolを持つ点で共通する。

これに関連して、ハービンジャーはダンスインザダークを父に持つ牝馬と相性が良く、この組み合わせからは4頭のJRA勝ち馬が出ている。

デインヒル=ダンシングキイ

これは、デインヒル≒ダンシングキイ(ダンスインザダークの母)という相似クロスに起因するものと思われ、今後の活躍次第ではハービンジャー×ダンスインザダーク牝馬の配合が増えるかもしれない。

そして、これをサポートする血脈としてShareef Dancerが存在する形になる。

もう一方のBlushing Groom≒Beauneに関しては、相似クロスというレベルではないが、互いにNearco系×Wild Risk系という組み合わせを持つ。

Blushing Groom=Beaune

では、例えばBlushing Groomクロスを持つハービンジャー産駒が活躍しているのかと問われれば、現時点でそういう傾向は見られない。

それでも、こういう血もハービンジャーの血統のなかではアクセントになると思われ、ハービンジャー産駒の稼ぎ頭ベルーフは実際にこの2つの血脈を活かす血統パターンを持つ。

ベルーフ

上記血統表ではわかりづらいが、母方にあるDoronic(ディクタスの母)がWild Risk系×Pharos(Nearcoの父)系の組み合わせであり、Blushing Groom≒Beauneを活かす血脈と見なせる。

ちなみに、ベルーフの血統にはAlmahmoudのクロスや、Shareef Dancer≒ダイナサッシュなどもあり、個人的にはハービンジャー産駒のなかで好評価している血統パターンの一つだ。

さて、次にドレッドノータスの母ディアデラノビアの血統について考えてみる。

この牝系については、ディアデラノビアの母ポトリザリスから始めるべきだろう。

ポトリザリスは現役時、牝馬ながらも亜国でGⅠ亜ダービーとG Ⅰ亜オークスを制した女傑であり、このほかにも彼女の母Chaldeeから多くの活躍馬が出ている。

この牝系(Chadlee)に着目して、キーンランド繁殖セールで何頭か見たことがあるが、結局縁がなかった。

私から見ると、ディアデラノビアは胸が深いのが馬体的特長だと思う。

産駒のドレッドノータスや、その兄姉たちの写真を見ても、平均して胸が深い印象を受けた。

しっかりとした馬体とともに、高い心肺機能がこの牝系の良さなのかもしれない。

では血統はどうかというと、そこはアルゼンチン血統というべきか、かなりユニークな血の持ち主である。

ポトリザリス

ポトリザリスは見慣れない血脈を多く有する血統で、またアウトクロスに分類される配合だが、実際には上記血統表で色分けしたような相似クロスが窺える。

Good Manners=Magnificent

Good MannersとMagnificentは、TeddyとPlucky LiegeとMumtaz Mahal、そしてPharos(Fairway)を持つ点で共通する。

Tropical Sun=Cabala

Tropical SunとCabalaは、HyperionとCongreveを持つ点で共通する。

Advocate=Honeyway

AdvocateとHoneuwayは、互いにFairway系×Papyrus牝馬という組み合わせを持つ。

アルゼンチン血統ではあるものの、これら3つの相似クロスで使われているTeddy、Hyperion、Fairwayといった血脈は欧米馬もしくは日本馬の血統にもよく見られる血だ。

その意味では、これらの血の活かし方がポトリザリス牝系のポイントになるのではないか。

そのポトリザリスは、サンデーサイレンスとの間にディアデラノビアという優れた牝馬を産んだ。

サンデーサイレンスとの配合では、サンデー自身の血統にもアルゼンチン血統が入っているとはいえ、結果的にはアウトクロス配合になっている。

ただ、サンデーの血統は2代母Mountain FlowerがHyperion3×4を持ち、ほかにもPharos(Fairway)6*6×6があり、またTeddyとPlucky Liegeの血を引くBullDog(Sir Gallahad)も5×6*7*8*8でクロスする。

これらの血は、上記の通りポトリザリスの血統でポイントになる血脈である。

一方で、サンデーの持つMahmoudクロスは、ディアデラノビアの世代では5*6×8*8と「強化」と呼ぶには若干弱い印象。

結果として、ディアデラノビアの血統は父サンデーよりも、母ポトリザリスの血を活かした配合と考えるのが自然のような気がする。

では、ディアデラノビアの息子ドレッドノータスの血統はどうなのかというと、彼の血統は父ハービンジャーの持つAlmahmoudのラインを強化する血統パターンになっている。

ディアデラノビアあるいはポトリザリスの血統でポイントになるPharos(Fairway)、Hyperion、Mumtaz Mahalの血はハービンジャーがNorthern Dancerを4本持っていることで補っている感がある。

Northern Dancerが、これらの血を内包する血統だからだ。

総合的に考えると、血統的にはもう少し瞬発力があっても良さそうなものだが、血統以外のファクターが強く影響している可能性はあるだろう。

また、ドレッドノータスの血統では、ディアデラノビア内にNorthern Dancerの血があったほうが血統的に安定しているように思うのだが、逆にパワーに偏り過ぎてダート適性の高い馬が誕生する可能性もある。

その意味では、ポトリザリス~ディアデラノビアと続く血統にNorthern Dancerが含まれていないという事実は、ドレッドノータスが3歳クラシック路線を目指す上でプラスに働くかもしれない。

さて、今日の日高は雨模様。

珍しく日中に更新してみた。
[ 2015年12月03日 15:01 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

キタサンブラック(GⅠ菊花賞)

キタサンブラック

先週はジェイエスの繁殖馬セールに参加。

夏から続いてきた競りシーズンも、海外セールを除けばこれで一段落ということになる。

今年は随分と忙しかった気がする。

その分、セールにおいてはある程度の売却率を残すことができたし、1歳世代においては一通り行き先が決まってくれた。

今度は当歳世代、そして来年の繁殖シーズンと繋がっていく。

離乳も終えて少し時間もできたので、ブログのほうにも時間を割いてみたいと思う。



さて、先週開催されたGⅠ菊花賞では、ブラックタイド産駒のキタサンブラックが優勝。

馬主は大野商事であるが、「キタサン」の冠名からわかるように、一般的には北島三郎氏の持ち馬として知られている。

同氏にとっては、初のGⅠ制覇とのこと。

長い馬主ライフのなかで、初GⅠがクラシックというのは大変嬉しいものだろう。

キタサンブラックは購買馬とのことだが、日高地方の牧場に繁殖牝馬をおいてオーナーブリーディングも行っており、個人的には手広くサラブレッドビジネスを展開している印象を受ける。

そのキタサンブラックだが、父のブラックタイドはGⅡスプリングSの勝ち馬でGⅠ勝ちはない。

というより、おそらくはディープインパクトの全兄としてのほうが知られているかもしれない。

ブラックタイドとディープインパクトのほかに、これらの全弟にあたるGⅢ東京スポーツ杯2歳S3着のオンファイアがいる。

この全兄弟3頭は、馬体的にそれぞれ異なる特徴を持つ。

ブラックタイドは馬格がちょうど良く、馬っぷりの良いタイプで、3頭のなかで一番馬が良いと評する生産者が多い。

産駒の勝ち上がりは、芝・ダートの割合が2:1であり、日本の競馬体系によく合っている種牡馬だと言える。

ディープインパクトはブラックタイドよりは小柄で、柔軟性と瞬発力を兼ね備えた馬体であり、牡馬ではあるが牝馬の切れ味に近い末脚を持っていた。

ディープ産駒の勝ち上がりは、9:1でダートよりも芝のほうが圧倒的に高いが、父譲りの瞬発力を活かすという意味では芝のほうが良いのだろう。

オンファイアは、全兄弟3頭のなかで一番ゴツいタイプの種牡馬である。

代表産駒のウキヨノカゼは芝馬であるものの、産駒の勝ち上がりはダートのほうが勝ち数が多く、実際にパワータイプの産駒が生まれることが多い。

このように馬体的にそれぞれ異なった特徴を持つ3兄弟だが、彼らの持つ血統的特長として以下の3点を挙げておきたい。

まずは、Halo≒Sir Ivorによる相似クロスである。

Halo=Sir Ivor

上記血統表から、いずれの血脈もTurn-to、Pharamond、MahmoudそしてSir Gallahadを持っている点がわかる。

3兄弟の血統では2×4の位置でクロスするHalo≒Sir Ivorの組み合わせは相性が良く、ジョリーズヘイローやグッバイヘイローの血統にも見られる配合手法だ。

次に、Mountain FlowerとHighlightの関係について言及しておきたい。

Mountain Flower=Highlight

Mountain Flowerはサンデーサイレンスの2代母であり、Highlightはウインドインハーヘアの3代母であるが、この2つの血脈はHyperionのインブリードを持つ点で共通している。

この3兄弟を種牡馬として考えた場合、Hyperionの強いこの2つの血脈も比較的重要だと個人的には感じている。

この2つの血脈を活かすべく、今回のキタサンブラックは母方にノーザンテースト(Lady Angela2×3を通じてHyperionを2本持つ)を持っている。

また、ディープインパクト産駒のGⅠ勝ち馬であるトーセンラー、スピルバーグの場合は、2代母Dance ImageがHyperionクロスを持っている。

オンファイア産駒のウキヨノカゼも、母方にHyperionの影響が強いSadler's Wellsを持つ。

ただ、3兄弟の血統的特長のなかで、一番ポイントとなるのは、3つ目の特長として挙げるGulf Stream≒Court Martial≒Petitionの関係かもしれない。

Gulf=Court=Petition

3つの血脈を比較しやすくするため、1つの血統表のなかに押し込んだ。

いずれの血脈もFairwayとGainsbouroughを持っていることがわかる。

Gulf Streamはサンデーサイレンスの母方に、Court Martialはウインドインハーヘアが4×5で持ち、Petitionもウインドインハーヘアが1本持っている。

このほかに、Royal ChargerとNearcticも既述の3つの血脈と血統的親和性が高い。

Royal Charger=Nearctic

こちらはNearcoとGainsbouroughを持つ点で共通する血脈であるが、Nearcoの父PharosはFairwayの全兄なので、これら5つの血脈がともに血統的親和性の高い関係だと言える。

ちなみにRoyal Chargerはサンデーサイレンスの直父系であり、Nearcticはウインドインハーヘアの直父系にあたる血脈だ。

これら5つの血脈の関係をうまく活かして配合されているのがキタサンブラックであり、ジェンティルドンナであり、トーセンラーとスピルバーグの全兄弟たちである。

彼らの血統に共通するのは、Lyphardクロスを持っていることである。

Lyphard

Lyphardという血脈は、血統表を見てわかるように、Court MartialとNearcticというブラックタイド、ディープインパクト、オンファイアの兄弟にとってポイントとなるFairway(Pharos)とGainsbouroughの血を有している。

これを活かすべく、彼らの産駒たちはLyphardクロスを持つことで父の血統的特長を受け継いで、結果として高い競走能力を手に入れた。

また、Lyphardと類似した血統傾向を持つ血として、Danzigにも注目すべきだろう。

Danzig

DanzigもNearcticとPetitionを持っているので、3兄弟の種牡馬との配合においては、有用な血脈と言えるかもしれない。

そういう意味では、ジェンティルドンナの血統パターンは理に適っている。

ジェンティルドンナ

彼女の血統は、母がDanzigとLyphardというディープインパクトと相性の良い血脈を2つも持っていて、そのような血統パターンが彼女に高い競走能力を与えたのではないか。

さて、すっかりブラックタイド、ディープインパクト、オンファイアの血統話になっていたが、今回のテーマがキタサンブラックであることを忘れてはならない。

そういうわけで、今度はキタサンブラックの母シュガーハートの血統を考えてみよう。

シュガーハート

私にとって、彼女の血統における最大のポイントはVictoria Park5×4である。

加国産のVictoria Parkは、同国の重要なレースであるクイーンズプレートS(10F)などに優勝して、カナダの年度代表馬に選ばれた名馬である。

ただ、今回私が注目したのは、その血というよりもVictoria Parkがクロスしている位置にある。

このクロスは、私がこのブログ上で何度か扱ってきた、いわゆるXライン上のクロスに分類されるものだ。

こういうクロスを持つ繁殖牝馬は、母として成功しやすいのではないかと個人的には感じている。

実際、シュガーハートは不出走だったが、母としてキタサンブラックのほかにショウナンバッハも送るなど、すでに優秀な繁殖成績を収めている。

ショウナンバッハ

特にショウナンバッハの血統は、ノーザンテーストクロスを通じてVictoria Parkクロスをを強化する配合手法を用いている。

ちなみにショウナンバッハの持つノーザンテーストクロスは、母方の1本がやはりXライン上に位置している。

ショウナンバッハの場合は、このあたりも評価すべきポイントかもしれない。

Victoria ParkをXライン上でクロスさせた繁殖牝馬から活躍馬が出るというのは、キタサンブラックが初めてというわけではない。

GⅠ勝ち馬のなかでは、オレハマッテルゼなどがその好例である。

オレハマッテルゼ

GⅠ高松宮記念の勝ち馬オレハマッテルゼは、距離適性こそ異なるがサンデーサイレンス、ジャッジアンジェルーチそしてノーザンテーストを持つ点でキタサンブラックと共通している。

こうして見ると、キタサンブラックという馬の血統パターンは、Lyphardクロスを持った時点でブラックタイドの血をうまく活かすことに成功して、さらにはMountain Flower、HighlightというHyperion系の流れをノーザンテーストを当てることでさらに強化した。

また、Victoria ParkによるXライン上のクロスによって高い繁殖能力を持つ母から、上質の遺伝子を受け継いだと考えられる。

全体のクロスや血統傾向からすると、キタサンブラックの本来得意とする距離は中距離あたりなのだろう。

確かにやや脚長に見せる馬体ではあるし、気性面でも我慢が効くタイプのようなので、それらが菊花賞の優勝につながったとも思える。

それでも、本質的には中距離馬であるというのが私の見解であり、古馬になってから中距離GⅠでの好走を期待したい1頭である。

決して華やか血統の持ち主ではないが、血統パターンだけで見るなら、いかにも活躍馬らしい血統の持ち主と結論付けたい。



久々のブログ更新で、つい力が入ったために、随分と長々と書いてしまった。

来年の繁殖シーズンに向けて少し時間ができる時期でもあるので、その分ブログに回せたらと思っている。


[ 2015年10月27日 20:50 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

アンバルブライベン(GⅢシルクロードS)

アンバルブライベン

GⅢシルクロードSは、好スタートを決めた2番人気のアンバルブライベンが終始先頭でレースを進めて、そのまま1着でゴール。

これで重賞2勝目となり、短距離馬なのでこのあとは高松宮記念を目指すことになりそうだ。

さて、そのアンバルブライベンの父ルールオブローにとっては、本馬が初の重賞勝ち馬となる。

ルールオブローは英GⅠセントレジャー勝ち馬で、英GⅠダービーで2着するなど、その競走成績はクラシックディスタンスに適性のあるものだった。

ただ、冷静に彼の血統表を見てみると、父が上質のスピードを伝えるKingmambo、母父がマイルGⅠ勝ちのあるロイヤルアカデミーという組み合わせで、マイラー傾向の血統の持ち主と言える。

また、2代母の父もNasrullah3×4を持つ短距離GⅠの勝ち馬Never So Boldということで、血統だけ見ればスピード色の濃い馬だ。

ダーレーの種牡馬展示会で初めてルールオブローを見たときも、セントレジャーを勝ったのでステイヤーっぽい枝の長い馬体と思いきや、程良い肉付きの中距離馬といった印象を受けた。

自分はロイヤルアカデミー産駒を国内外の生産牧場で何頭か扱ったことがあるが、この血が入ると気性的にテンションが高くなるように感じた。

そのためか、ルールオブロー産駒の平均勝ち距離は芝・ダートともに7F前後となっている。

気性的に短距離向きの馬が多いのかもしれない。

ルールオブローの血統については、Mr.Prospector≒Nijinskyの組み合わせは見過ごせないポイントだ。

MrProspector=Nijinsky

Mr.Prospectorが持つNative Dancer系×Nearco系のニックを、Nijinskyの父Northern Dancerも持つという関係である。

加えて、上記5代表ではわかりづらいが、Nijinskyの母父Bull Pageが持つBull Dog/Blue Larksuprのニックを、Mr.Prospectorの3代母Miss Dogwoodも持っている。(彼女の母MyrtlewoodがBlue Larkspurの娘)

Mr.Prospector系×Nijinsky系の組み合わせは、日本で種牡馬になったジェイドロバリーやスキャンの血統にも見られる。

この組み合わせでは、馬体的にはNijinskyの雄大さやMr.Prospectorの少々荒々しい骨格などが伝わるように自分は感じている。

そのため、この組み合わせからはダート向きに出やすいのではないだろうか。

ただ、ルールオブローの産駒成績を見ると、芝・ダートの割合は芝のほうが少し高いのだ。

この傾向を血統的に説明するならば、ルールオブローの2代母Never So Fairの血統が鍵を握っているように思う。

彼女はNasrullahのラインブリードを持っていて、日本の素軽い芝に向いた血統背景を持つ。

そこにNasrullah4×6を持ち、なおかつ柔軟性を伝えるNureyevの血も持ち合わせたKingmamboを迎えたことで、ルールオブローはMr.Prospector系×Nijinsky系の組み合わせを持つ割りには素軽いスピードを備えていると推測する。

さて、ここからはアンバルブライベンの母チェリーコウマンの血統に目を向けよう。

こちらも、ルールオブロー同様にNorthern Dancer系×Raise a Native系のニックから生まれている。

そういう意味では、この両親から生まれたアンバルブライベンは父母相似配合という見方もできるだろう。

特に、チェリーコウマンの場合、Northern Dancer≒クラウンドプリンスの血統的親和性が素晴らしい。

Northern Dancer=クラウンドプリンス

Northern Dancer、クラウンドプリンスともにNearco/Native DanceerおよびNearco/Hyperionのニックを持つ。

さらに、両者はNearco、Hyperion、Native DancerそしてMahmoudを持つ点でも共通していて、血統的親和性の高さが窺える。

このうち、Nearco/Hyperionのニックに関しては、チェリーコウマンの3代母の父シプリアニも持つ組み合わせである。

これらのことを総合的に考えると、彼女の配合相手にはNorthern Dancerを持っている種牡馬が良さそうで、この血をクロスさせることでクラウンドプリンスやNearco/Hyperionを活かすことが可能になる。

そこで彼女の繁殖成績を見てみると、重賞3着の実績を持つマイマスターピースやツルマルヒガシダケ、あるいはマイソールラブなどNorthern Dancerクロスを持つ産駒が勝ち馬になっている。

血統面だけで言えば、彼女の産駒にとってNorthern Dancerクロスはプラスに作用するようだ。

実際、アンバルブライベンはNorthern Dancerを2本持つルールオブローを父に持つことで、自身もNorthern Dancerクロスを持つ血統パターンになっている。

特に彼女の場合は、Northern Dancerの直仔であるNijinsky≒Storm Birdの組み合わせを持つ点が特長的だ。

Nijinsky=Storm Bird

どちらの血脈も、Northern Dancer×Bull Page系牝馬という組み合わせだ。

自家牧場の配合でも実践しているこの組み合わせは、ケン・マクリーン著の『クラシック馬の追求』に書かれていたことに触発されて、試し始めたように覚えている。

個人的にはスピードやパワー、あるいは底力の強化につながるイメージのある配合手法だ。

結果を言えば、自家牧場からは新馬戦勝ちや特別勝ちの馬を送り出すことはできているが、残念ながらOP馬の輩出には至っていない。

それでも個人的には気に入っている配合で、今後とも続けていきたい手法の一つである。




さて、久しぶりに本格的な更新ができた。

題材候補としてクリールカイザーや、1月に好調だった母父ダンスインザダークのことを書こうと下調べはしていたのだが、まとまった時間がなく結局この記事まで伸びてしまった。

段々と忙しくなる季節ではあるのだが、時間があればこれからも更新していきたい。
[ 2015年02月06日 14:37 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)

ショウナンアデラ(GI阪神JF)

ショウナンアデラ

先週のGI阪神JFでは、出走メンバー中唯一のディープインパクト産駒だったショウナンアデラが優勝。

最後の直線での見事な切れ味、そしてまだ2歳戦とはいえ大きな舞台で勝ち切る底力などは、やはりディープ産駒である。

当場でもディープ産駒を生産・育成したことがあるが、品があって放牧地ではバネの効いた走りをしていた。

非常に高額な種付料のため、配合したいと思っても中小規模の牧場ではなかなか難しい種牡馬ではあるが、産駒の出来を見たり自ら生産・育成に携わってみると、毎年配合したいと思わずにはいられない種牡馬だ。

さて、ショウナンアデラであるが、彼女の母オールウェイズウィリングは米国キーンランド11月セールで購買された繁殖牝馬である。

http://apps.keeneland.com/sales/Nov09/pdfs/1093.pdf

自身は1勝馬ながら、ブラックタイプを見ると黒文字がぎっしりと詰まった底力を感じる牝系だ。

よく見ると、ショウナンアデラの2代母にあたるAlways LoyalはGI仏1000ギニーの勝ち馬、3代母のBalbonellaも仏GIロベール・パパン賞の勝ち馬で、その息子には種牡馬として凱旋門賞馬Anabba Blueを輩出したAnabaaの名前もある。

このように近親に活躍馬がいる牝系の場合、自分はその馬たちの血統パターンを調べることにしている。

その馬たちに共通項があるなら、その血統的特長を継続させる配合をすることにより、高い確率で勝ち馬を生産できるかもしれないと考えるからだ。

では、最初にショウナンアデラの3代母Balbonellaの血統を見てみよう。

Balbonella

彼女の血統には、Sir Gaylord≒RivermanによるNearco/Prince Roseのニックを活かした相似クロスがあるのが最大の血統的特長だろう。

さらに2代父Vaguely Nobleが持つHyperion/Pharosの組み合わせを、2代母の父KashmirもOwen TudorとBlue Trainを通じて2本持っている。

Vaguely Noble=Kashmir

上記血統表を見てわかるように、Blue TrainについてはPharosではなく全弟Fairwayを通じてこの組み合わせを活かす形になっている。

もし、BalbonellaがNearco/Prince RoseとHyperion/Pharosを活かす配合でGI馬になれたと推論するならば、その娘であるAlways Loyalにもこの血統的特長を継続させることが望ましい。

Always Loyal

彼女の父Zilzalには、Nearco/Prince Roseを持つボールドラッドの血脈があり、Hyperion/Pharosに関してはNureyevを通じて3本(Nearctic、Special、Forli)が存在する。

このような観点から、ZilzalはBalbonellaの血を活かす種牡馬として適していたと考えられる。

Always Loyalの娘であるオールウェウィリングの血統に関しても、父Elusive QualityがNearco/Prince Roseを持つ血としてSecretariat、Sir GaylordそしてNatashkaを保有している点は大きな特長だろう。

また、Elusive Quality内のOwen TudorやNearcticは、Hyperion/Pharosのニックを持つ血脈である。

その意味では、オールウェイズウィリングは1勝馬ではあるものの、牝祖の血統的特長はしっかり受け継いでいると見なせる。

その彼女にディープインパクトが配合されて生まれたのがショウナンアデラだ。

ショウナンアデラの血統で最大の特長は、Northern DancerとSir Ivorを組み合わせたAlzao≒Touch of Greatnessによる相似クロスだろう。

Alzao=Touch of Greatness

ディープの場合、このAlzaoの血脈をいかに用いるかが配合を考える上で重要になってくるが、Elusive Qualityを持つ繁殖牝馬にディープを配合すると、このようにダイナミックな血統パターンになる。

ここでのポイントは、Northern Dancerはその父NearcticがPharos/Hyperionを持ち、Sir Ivorはその父Sir GaylordがNearco/Prince Roseを持つという血統背景にある。

つまり、彼女の牝祖の血統的特長をそのまま継続し、Alzao≒Touch of Greatnessという形で相似クロスさせることにより、その影響を強化した血統パターンになっているのだ。

ちなみにTouch of Greatnessの名前は、前回このブログで取り上げたサトノクラウンのなかでも登場している。

その際は、Rossiniの母として取り上げた。

現在のディープ産駒の活躍から考えると、将来的にはディープ系種牡馬が多くスタッドインするはず。

そうなると、Touch of Greatnessの息子たちであるElusive QualityやRossiniの血脈は、海外で評価される以上に日本で重要視されるようになるだろう。

ところで、ディープインパクトが単純にサンデー系種牡馬だと考えると、繁殖牝馬側にはNorthern Dancerの血脈があることが望ましいということになる。

オールウェイズウィリングはNorthern Danccerクロスを持っている繁殖牝馬なので、この点は申し分ない。

また、Halo系種牡馬に対して相似クロスを用いようとするならば、Halo≒Sir Ivorの相似クロスをつくる配合手法が考えられる。

この相似クロスについてはディープ自身がすでに保有しているが、オールウェイズウィリングもSir Ivorを持っているので、父の血統的特長が継続されたと言える。

出走中唯一のディープ産駒が優勝したという点がクローズアップされている感もあるが、冷静に彼女の血統パターンを考察すると、純粋に彼女の競走能力が高かっただけかもしれない。

牝系の距離適性からするとオークスあたりは疑問符がつくが、桜花賞なら有力馬の1頭に挙げられるだろう。
[ 2014年12月18日 10:07 ] カテゴリ:競走馬 | TB(-) | CM(0)


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